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林哲夫の文画な日々2
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晩秋飛鴉図屏風

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先日、叭々鳥についてもう少し書きたいと書いたが、それはこの絵について。与謝蕪村「晩秋飛鴉図屏風」(上は部分図、下が全図)。『与謝蕪村 翔けめぐる創意』展図録(MIHO MUSEUM、二〇〇八年)より。これは本当に「鴉」なのだろうか? 図録解説を読んでもこの画題がどこからきているのかは記されておらず、むろん画中にも書き込まれていない。裏書きとか文献とか伝承とか何か根拠があるはずだろうが、さて。

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この黒い鳥は「叭々鳥」ではないのか? カラスにしてはくちばしが貧弱すぎるように思うのが第一の理由。冠毛もある(ただし蕪村はカラスにもこの冠毛を描く癖があるが)羽根全体が黒いところはカラスである。しかし古画で真黒に描かれた叭々鳥図を見たことがある。真黒だから叭々鳥ではない、とも言えない。

例えば狩野尚信「叭々鳥猿猴図屏風」(出光美術館蔵)のような先行作品からヒントを得た構図なのではないか、と考えてもさほど的外れではないかもしれない。

蕪村は「枯木叭々鳥図」という作品も描いている(下図、部分)。時代がへだたっているため「晩秋飛鴉図屏風」とはタッチがまったく違うが、こちらはちゃんと白あるいはグレーの羽根を描いている。しかし全体の描き方の感じからすると、ひょっとして蕪村は叭々鳥を実際に目にしたことがなかったのではないかと思えてしまう(江戸時代には日本でも叭々鳥を飼育することが流行したとも言うが?)。まさかカラスを見たことがないとは考えられないけれども。どちらにしても蕪村が描くのはたいていイマジネールな風景や人物ばかりである。現実のモデルがないと描けないというような性格の絵師ではない。他にも蕪村には「棕櫚ニ叭叭鳥図」(慈照寺)もある。


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そして蕪村のカラスと言えば「鴉図」(北村美術館蔵、下図、部分)にきわまる。なんとも人間臭い二羽のカラス。

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このカラスをじっくり見ておきたい。そして「晩秋飛鴉図屏風」に目を戻してみよう。……やっぱりカラスじゃないでしょう。


by sumus2013 | 2016-02-24 20:27 | 雲遅空想美術館 | Comments(0)
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