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林哲夫の文画な日々2
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表紙の音楽史

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龜鳴屋さんの美しい書物が届いた。金澤攝『表紙の音楽史 楽譜の密林を拓く 近代フランス篇 1860-1909年生まれの作曲家たち』(龜鳴屋、二〇一五年一一月二七日)および資料集(手前)。

1860年から50年間に生まれた近代フランスの作曲家231人。その楽譜の表紙デザインを通して、ある特定の時代や風土が働きかけた創造の軌跡を、歴史的・総括的に一望する空前の企て。楽譜の密林の探索者は、音楽史、デザイン史に新たな地平を拓いてみせる。


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このジャケットが素晴らしい。湯川書房にもそういう堅めの折りジャケットを本体に被せた装幀があるが、それとは少し違って本体の表紙をあえて省略してある。だから背の糸かがりが露出しているのだ。ふつうは表紙に張り付ける(張り付けない場合もある)見返し紙をかなり厚めにして表紙の代用としている。色調といい触感といい、何ともいい感じだ。


本文用紙はモンテシオンというややざっくりした手触りの紙。ザラッとした紙はインクを吸うので刷りにくい。しかしながらさすが山田写真製版所のたくみな技術で美しく刷り上がっている。

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作曲者にたいする著者の短いコメント、これがパリで培った(?)ピリッと辛みの効いたエスプリに溢れている。たとえばエリック・サティ。

《サティの美学とは何か。練習しなくても弾ける重宝なレパートリーとして、ピアニストの人気は高い。それは人為的な所作からの解放、原始への回帰、といったところを意味していると思われる。サティの問題提起は、芸術は本来遊びであるという原点を示した点で、大きな意義を持つ。その思想は前衛の旗手、ジョン・ケージにも引き継がれた。》

フランス近代おける装幀の歴史を通覧する場合に「楽譜」というジャンルを軽視できないことを本書は教えてくれた。デザイン・ソースとしても使い出は十分ありそうだ。

『資料集』は著者の手書きをそのまま印刷に付したもの。その緻密さに驚かされる。

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by sumus2013 | 2016-02-14 21:20 | おととこゑ | Comments(0)
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