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林哲夫の文画な日々2
by sumus2013


フランス映画社配給

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フランス映画社配給の映画スチール十四枚、海ねこさんの目録より求めた。堀内誠一の遺品であろうか。「81/2」(フェリーニ、1963)「勝手にしやがれ」(ジャン=リュック・ゴダール、1959)「気狂いピエロ」(同、1965)「彼女について私が知っている二三の事柄」(同、1966)「アメリカの友人」(ヴィム・ヴェンダース、1977)「英国式庭園殺人事件」(ピーター・グリューナウェイ、1982)という渋い名作ばかり。裏面にはフランス映画社のスタンプが捺してある。「英国式庭園殺人事件」以外の作品は一応観たような気がする。あまりにも有名な「勝手にしやがれ」の一枚(並木道散歩)はさっそく額装してトイレに飾ったのでここには写っていない。

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先日、河原温のロフト(http://sumus2013.exblog.jp/24768158/)を取り上げたところ。妙なことにも昨日届いた『scripta』(紀伊國屋書店出版部、二〇一六年一月一日)に河原温のロフトについての記述があった。平出隆「私のティーアガルテン行 第18回郵便とともに」。

《河原温作品との出会いを書いてみよう。一九八三年の夏、連夜の過酷な徹夜仕事を終えて休暇に入った私は、着いたばかりのニューヨークで疲れからひどく酔い、パスポートをなくしてしまった。義兄の家族と自動車でカナダ旅行という計画が水の泡。再発行までニューヨークでおとなしくしていなければならない、という最悪の休暇が決まったとき、寄る辺なさから、ソーホーの画家のロフトに寄寓中と聞いていた若い小説家を訪ねた。小説家は不在、そして画家も不在で、小説家の奥さんと少しばかり話して帰ったのだが、後から思うと、そこは河原温のロフトだった。画家の姿も一点の絵も見当たらないそのアトリエが、「河原温」との最初の、気づかざる出会いの場所だった次第である。》

若い小説家というのは宮内勝典かとも思ったが(河出書房新社と関係が深い)、年齢としては宮内氏が平出氏より六歳年長になるので即断はできないようだ。

もうひとつ目に付いた都築響一「ROADSIDE DIARIES 移動締切日 第四回」。パリの日記だ。九月、十月と二度にわたってパリに来ていた。十月にはカルチェ財団の美術館で「コンゴ現代美術展」を見たと書いてある。わが宿から歩いて十分の距離なのだが見逃していた。残念。この美術館、外観がガラス張りでまったく好きになれないため敬遠していた。反省すべし。もうひとつパリのラーメン街(オペラ通り界隈)にあるオ・ボヌール・ジュ・ジュール(AU BONHEUR DU JOUR)というヤバそうな画廊兼出版書肆の存在も知らなかった。次の機会があれば訪ねてみたい。[余計なことながら都築氏の原稿では仏文の綴りが「JEUR」、発音は「オウ・ボヌール・ドゥ・ジュール」となっておりどちらにも誤植か勘違いが混じっている]

by sumus2013 | 2015-12-28 20:33 | 古書日録 | Comments(0)
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