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林哲夫の文画な日々2
by sumus2013


行商文学

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寒さが緩んで快適な秋空。最高気温は十五度ていど。いわゆる古本日和。またもやブラッサンス公園へ。シャンペレ古本市もいいが、ちょっと大掛かりすぎる。こちらの公園はいつものようにのんびり。古本屋の女房キョウコさんともまたしばし雑談できた。フランス人と結婚してパリに住んでいる日本人女性はかなりいるという話。目覚ましい活躍をしている方も少なくないようだ。

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スズメも立ち読み。誰かが平積み本のあたりに餌をまいている(ひょっとして店主?)。別の店では本の上を青虫がゆるゆると。

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2ユーロ均一テーブルでClaude BONNEFOY『La littérature de colportage‎』(Extraits de "Flammes et fumées", 1971)を見つける。以前、本の行商について少しだけ触れたことがあるのを思い出したのでこれには素直に手が出た。

本の行商

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著者によれば十九世紀半ば以前にはこれらのコルポルタージュ文学を調べる者は誰もいなかったそうだ。皮肉にもその最初の研究家はシャルル・ニザール(Charles Nisard)という本を取り締まる役人だった。第二帝政末期の一八五三年に「悪書 mauvais livres」を取り締まるため設立された検閲委員会の事務局長だった。すでに行商本は大量出版に圧されて衰退していたにもかかわらずニザールは容赦なくあらゆる行商本を検閲した。それが結果として歴史的、社会学的にも重要な調査資料として残ることになったのである。

by sumus2013 | 2015-10-25 03:05 | 古書日録 | Comments(0)
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