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林哲夫の文画な日々2
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芸術解剖学

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中村不折『芸術解剖学』(中央美術社、一九二五年三月一五日改訂版)。小生が大学にいたころは美術解剖学といえば西田正秋という人の著作がよく知られていた。本書はそれよりも一時代前の教科書(参考書か)である。中村不折は洋画家だが、どちらかというと島崎藤村や夏目漱石の挿絵を描いた画家として知られるし、書家として(新宿中村屋のロゴは不折作)書道資料のコレクターとしても有名である。モダン山水とでも言うべき墨彩画や書の掛軸を多数制作している。漱石が不折は描き過ぎだともらしたほどで、実際、現在でも相当数が出回っているようだ(小生も小品一点架蔵する)。

緒言にいわく

《近時我国に若い一派の人々が随喜するマチスやピカソ等の仕事を見るに、其の随喜するのは、彼等の芸術の本体ではなく、寧ろ其の拙い方面、誤れる方面、又は其の欠点とも見做すべき方面を捉へて却つて之れに随喜して居るのである。》《マチスやピカソなどの仕事ならば、幾千年の昔に既に野蛮人等がやり古したものと同様である。》

《芸術上の真と云ふ見地から見れば、全然意味のない事である。芸術上の真は新しいとか旧いとか云ふ事の外になければならぬ。而して其の真とは何ぞやと云へば、一言に答へる事は出来ぬが、少なくとも、芸術は骨を折らなければ出来ぬものである、と云ふ事丈けは云はれ得る。》《真面目に芸術に志すものには、其の基礎を健実に築き上げると云ふ事が最も緊密な事である。而して此の芸術の基礎としては、西洋では、人体の研究を以て第一に置いて居る。》

《我国では、明治十五年頃、文部省でホンタネージと呼ぶ外人を招いて、洋画の稽古をさせたが、当時の日本では、非常に裸体画を嫌つて、終に充分其の稽古をやらせなかつた。今日の状態から当時の事を回想すると、漫ろに時勢の進歩に驚かれる。》

ま、これは古い考え方であろう。

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内容は、ほとんど各部位の名称の羅列と言ってもいいくらいで、美術を志すものがこれを理解するのは困難だったろうと思われる。美術には解剖学も必用だという認識をもつにはよかったかもしれない。

二色刷りの図版は中村不折の筆か。巻末に裸体デッサンの見本例、不折作品が五点挙がっている。小生の知る限り、安井曾太郎がパリで描いた裸体デッサンが最高の裸体デッサンであろうと思うが、不折のデッサンもかなりの腕前で、ここまで描ける明治生まれ日本人はほんの数えるほどしかいないと思う。ここまで描けたなら、さぞ油彩画も重要な作品を残しているのかと思うが、それについては良く知らない。

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by sumus2013 | 2015-09-27 20:27 | 古書日録 | Comments(0)
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