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林哲夫の文画な日々2
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害虫防除

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ロボットじみていてニヤリとしてしまうこの写真。何をしているのかというと……

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土壌消毒であった。上原敬二・加藤常吉『庭園植物の害虫防除』(成美堂書店、一九三九年五月二〇日)より「土壌消毒(クロールピクリン)」。

《クロールピクリンは無色液状で揮発し易く強烈な刺戟性を有する。引火性はなく空気より重い。
 其の瓦斯に触るれば涙を催し、吸入する時は咳を頻発する。本剤が害虫駆除に使用され始めたのは我が国に於ては大正九年以降の事である。強烈な殺虫、殺菌力を有し、貯穀害虫の駆除及土壌消毒に用ひられる。》

劇薬である。なるほど防毒マスク着用もうなずける。今日でも同じような使い方をされているし、また、この農薬を用いた殺人事件さえ起こっているようだ。

クロルピクリン (chloropicrin) は化学式 Cl3CNO2 で表される、メタンの水素3個が塩素に、1個がニトロ基に置き換わった構造を持つ有機化合物。日本では農薬登録されている。別名として クロロピクリン、塩化ピクリン とも。IUPAC名は トリクロロニトロメタン (trichloronitromethane)。》(ウィキ)

読者の方より御教示いただいた。第一次大戦においてドイツ軍が新種の毒ガスとして実戦に用いていたそうだ(「クロロピクリンの毒性」江見富士也、『科学知識』昭和十一年三月号)。

クロロピクリンは戦時に毒瓦斯として使用する許りではなく、最近では平時の用途として穀倉庫の駆鼠除虫、兵舎貨物の消毒等にも使用せられる様になり、平和時に於ても堂々と製造されつゝある禁制品毒瓦斯の一種となつた。

人も害虫の一種である……か。

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成美堂書店については下記で少しだけ触れた。

尾関正求『再版数学三千題巻之中

今日たまたま張岱『陶庵夢憶』(松枝茂夫訳、岩波文庫、一九九一年三刷)が読みたくなって、開いてみると「金乳生の草花」という文章が目に留まった。そこには明代の害虫駆除の方法が書かれているのでこの『庭園植物の害虫防除』を思い出したというわけである。昔の人はこんなに苦労していた。

《菊虎[きくすい]を捕え、地虫[でむし]を殺し、花の根、葉の裏、千百本からの草木といえども、一日に必ず一度は見廻る。頭に瘤をつくるのは火蟻[ひあり]であり、枝を枯らすのは黒蚰[げじげじ]であり、根を痛めるのは蚯蚓[みみず]・蜒蝣[なめくじ]であり、葉を食い荒らすのは象幹[ぞうかん]・毛蝟[けむし]である。火蟻は〓[さめ]の軟骨と鼈甲をそばに置き、引き出してこれを棄てる。黒蚰は箸の先を麻で包んだやつでこれをせせり出す。蜒蝣は夜中に灯を持って行って殺してしまう。蚯蚓は川水に石灰水を混ぜたもので溶かしてしまう。毛蝟は馬糞の汁で殺す象幹虫は針金の先を磨いだやつを穴に突込んで捜し出す。こうした仕事をみな必ず自分でやり、氷のために手がひび割れても、太陽のために額が焦げても顧みないのである。

ほんとうの自然農法である。


by sumus2013 | 2015-09-16 19:59 | 古書日録 | Comments(0)
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