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林哲夫の文画な日々2
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タリスマン

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サー・ウォルター・スコット『ザ・タリスマン(護符)』(FRANKLIN SQUARE LIBRARY No.78, HARPAR & BROTHERS, October 3, 1879)こちらも整理中のみっけもの。むかしむかし、東京の古書会館が工事中だったとき竹橋近くのビルで即売会が開催された。そのときにアルカディア書房の棚で求めた。ボロボロなので安かった。組版の参考になるかなと思って購入したのだと思う。本文組みはこのようなタテ三割で、新聞紙のようである。寸法はおおよそタテ28センチ、ヨコ21センチ。ほぼA4判。

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『護符』(一八二五年に十字軍物語 Tales of the crusaders 第二話として出版されたのが初出)は第三次十字軍におけるイギリスのリチャード獅子心王とシリア王サラディーンの戦いを史実に基づきながら騎士道エンタテインメントとして描いている。スコットはエジンバラ出身、当時のベストセラー作家・詩人で現在でも人気があるようだが、タリスマンにおいては当時のヨーロッパ列強の中東への関心を十字軍に置き換えたところがミソであろう。本書巻末「THE WAVERLEY NOVELS」の広告にはスコットの似顔絵と紋章まで印刷されている。

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ハーパー・アンド・ブラザーズ社はジェイムズとジョンのハーパー兄弟が一八一七年に創業(J. & J. Harper)。一八三三年に社名を「Harper & Brothers」に変更し、五〇年に『Harper's New Monthly Magazine』、五七年に『Harper's Weekly』、六七年に『Harper's Bazar』そして七九年に『Harper's Young People』などを創刊した。

FRANKLIN SQUARE LIBRARYというシリーズは一八七八年にスタート。一八九三年終刊までに七五八冊を刊行したそうだ。『タリスマン』はたったの十五セント。ダイム(十セント)ノヴェルにはかなわないにしても大手出版社としては頑張った値段設定だろう。例によってハーパー社も海賊版には相当手を焼いたらしいが、ただ当時としては海賊版対策に力を注いで成功していたという(詳しくは Christine Bold『The Oxford History of Popular Print Culture』Oxford University Press, 2011)。

ダイム・ノヴェル

by sumus2013 | 2015-08-19 20:10 | 古書日録 | Comments(0)
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