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林哲夫の文画な日々2
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徒然草

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「徒然草」と題された草稿。某書店の均一台にて。本文八丁(十六頁)に表紙が付けてある。戯文と狂詩から成っている。

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読めないところはお教え願うとして(御教示いただきました)いちおう冒頭の一頁少々を読んでおく。いきなり書物蒐集について。

一 昔大家の主君志よ志[濁点]やくを吟味して類を集免悉く後の為にはされたれ共後に見る人のなけれハ皆虫の巣と成ぬ越を思ひ見るに半二先生の書籍に心を定し後学の為にのこすと云へ共人心同しからされハ終[ルビ=ツイ]にハ諸虫のすみかとならん嗚呼かなしいかな人の心の不同哉
返答 
一 薄学不才の我等かく申せハちんぷんかんらしく思ハれけれと一寸口をへしあけて申さハ後に見る人のあろとなかろと虫にくわそと火に入と其身ハ正しきを得て死せハ可なり恐らくハ是人たるもの後世子孫のためを思ひ書籍を集め富家の一助ともせんと思ふハ人たるの道なるへし爰を以て思ひ見れハ被温公とか云へる人の勧学の歌にも子を養て教へざるハ父のあやまちなり訓導のいつくしからざるハ師の惰れるなり父教師いつくしんじて学問なる事なきハ子の罪なりとやらんいへりさあれハ人の父たる者書物を集めて子孫の為に一助[改ページ]とも致たき事かと思ひはべる

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戯文から狂詩へ移るところに天保十一子歳三月ヨリ》とある。一八四〇年。ペンネームは阿北斎、兌楽斎、木六斎、典穀斎と四人確認できる。以前紹介した銅脈先生の後継者たちであったかもしれない。

銅脈先生『太平樂府』

遊女などのモチーフが多いが、なかに改革篇と題する長詩もあった。

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冒頭に仁政だとか二百年来奏太平だとか言い出すので頌歌かと思いきや、徐々に政道批判に展開していく。《今度御改革》というのは水野忠邦を中心に天保十二年から始まった「天保の改革」を指すのであろう。徳川幕府は崖っぷちまで来ていた。改革によって不景気風が吹いたことがこの狂詩には軽妙如実に示されている……とすれば、こんな草稿がお上の目にとまったらただごとでは済まなかったかもしれない。それでも敢えて鬱憤ばらしをしていた。町衆(?)の諧謔精神も軽視できない。

by sumus2013 | 2015-08-16 21:45 | 古書日録 | Comments(0)
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