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林哲夫の文画な日々2
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彩色ある夢の破片

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石野重道『彩色ある夢の破片(かけら)』(書肆盛林堂、二〇一五年七月二七日)が届いた。これまた意想外の豆本仕立てで夢のかけらを透かし眺めることができるとは思ってもみなかった。

《石野重道 『彩色ある夢の破片』》が無事に出来上がりました。

さまよえる古本屋


例えば「モル博士と、その町」より。

《三人の少女が、アメリカンピンクの帽子をきて、白く、ふち取つたセルジアンブルーの上衣に、ネズミの長靴を軽く穿いて、丁度三匹の胡蝶のやうに三つの家からとび出して、三角のひろ地で、踊りながら歌を、空気にまきつゞける、まはりの家々からは、人々がポコン、ポコンと眺めてゐる。その時、ジヨラル・モル博士は、重い書本を抱いてやつて来た、それから曲り角のテイラーに、入つた、ーーさうして、モル博士は、新しい装ひに外に出て 三人の踊り手は、と云つたやうに、頸をかしげてゐたが、コンクリートの上に、三つのネズミの靴が、彫りものゝやうに残されてあるのを見るのであつた、丸い窓の頭もなかつた、さうして博士の新しいまとひは、はげて古くなつてゐるのであつた。

ジヨラル・モル博士は、書斎に様々の書物にとり囲まれて、さうして古びた一書に、異様な目をはらつて、のぞき込んでゐるやうである。しかも数多き此の書斎の書は、何も書いていない白紙である。

タルホよりももっとずっとセルロイドっぽい(ブリキっぽい)情景がたまらん。


by sumus2013 | 2015-07-28 17:41 | おすすめ本棚 | Comments(0)
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