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林哲夫の文画な日々2
by sumus2013


山本悍右展案内状

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山本悍右展(一九八八年四月一一日〜二三日、IMAGINATION MARKET Q&P、東京都中央区銀座2丁目15号銀座ビル2階)の案内状を某氏より頂戴した。山本は前年一九八七年四月二日に肺癌のため死去。

ジョン・ソルトが「ヒョーショーされなかったシュールレアリスト」という追悼文を寄せている。

《「ヒョーショージョー」パン・ナム日本支社長が叫ぶ千秋楽の変なアクセントの日本語を耳にしても、奇異に感じる日本人はそんなにいない。むしろ、外国人が妙なアクセントでしか日本語を話せないことを知って、多くの日本人は安心し、あるいは満足しているようにさえ思える。(本当の彼の日本語はまったく見事で、わざと日本人に受けるように、下手な日本語を話しているってことを知っていましたか?》

知りませんでした。

山本悍右。73才で、一昨年[ママ]その生涯を閉じた写真家兼詩人兼アーティスト。僕の眼には類まれな日本のシュールレアリストである彼を、日本に精通している日本人たちはどれほど理解しているのだろう。(日本人はフランスのシュールレアリストについては、アメリカ人以上に知っているように思えるのだけれども)
 彼の展覧会に際して、ガイジンの僕があれこれの作品について、多くを語る必用はないだろう。ただ、戦時の特高による弾圧と、それにも増した作品の無視という弾圧の二重のつらさに挟撃されてなお、ただひたすら信ずるところに忠実であろうとした、静かな情熱に乾杯したい。1984.4.11(訳/鈴木雅文)

二〇〇一年に東京ステーションギャラリーで回顧展が開かれている。今その図録もめくりながら書いているのだが、大阪や神戸の新興写真とも相通じるところもありつつ、何と表現すればいいのかすぐには言葉を思いつかないけれど、やはり一種独特な感受性を示す作品群である。




by sumus2013 | 2015-06-26 17:11 | 古書日録 | Comments(4)
Commented by manrayist at 2015-06-27 07:42 x
案内状懐かしく拝見。悍右さんの写真は良いですね。
Commented by sumus2013 at 2015-06-27 10:23
いいですねえ。サドマゾヒズムが感じられます!
Commented by miti-tati at 2015-06-28 06:11 x
2001年の回顧展では受付にジョン・ソルト氏がおられ、来場者を丁寧に案内されていました。その頃
彼の北園論を呼んでいたので、彼に北園の日本刀愛好について質問しようとしましたが気後れでできませんでした。
目録にある彼の個人誌「夜の噴水」揃いが今度の明治古典会入札品目録にとんでもない金額で出ていますね。
Commented by sumus2013 at 2015-06-28 10:34
『夜の噴水』、なるほど! 状態は良さそうですね。
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