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北園克衛「古本」![]() ![]() 《しかし、考えてみると、僕のところで塵にまみれさせて置くよりも、古本屋の店頭に置いた方が、出版者の主旨に沿うものかもしれないのだ。》 古本屋で献辞を切り取った詩集に出会うことがあるが、あれは感心しない。 《そういうわけで、僕が詩集を古本屋に売る時には、献辞はそのままにして、売ることにしている。これが詩集の著者に対するせめてもの礼儀のつもりである。》 まったく同感である。たしか中原中也が古本屋で佐藤春夫宛に献呈した自分の詩集を見つける話があったと思うが、明らかに本よりも献辞の方が貴重なのである。 ![]() 北園はかなりの古書通だった。「敗戦」とはっきり書いているところも気に入った。 ![]() 《今日僕の古い詩集を買をうとすると、十倍が百倍でも簡単に手に入らないそうである。そういうことを聞くとおかしくなったり、気の毒になったりもするが、商品にならない詩集を気前よく出版してくれた人々に対して少しばかり義理を済ませたような気がしないでもない。だが大いに儲けているのは中村書店くらいのもので新しい詩集を出してくれた人々ではないということは何とも皮肉な話である。》 図版として挿入したハヤカワ・ミステリ文庫のカバーは北園克衛のデザインである。金澤一志氏によれば 《ハヤカワ・ミステリー文庫が創刊された1976年4月、クイーンの『十日間の不思議』『緋文字』『最後の女』またロアルド・ダール『あなたに似た人』ハリイ・ケメルマン『金曜日ラビは寝坊した』などのカバーがデザインされてから、以後亡くなるまでシリーズの多くを北園が手がけた。病床で最後まで作業していたのがハヤカワの仕事だったという。》(『SD』431号、二〇〇〇年八月号) 最近はブックオフでもほとんど見かけなくなったように思うが、北園克衛のもっともポピュラーな仕事であろう。発行部数も刷数も詩集とは比較にならない……改めて記すのもおこがましいか。 『EQMM』の北園克衛
by sumus2013
| 2015-06-22 20:32
| 古書日録
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Comments(1)
興味深い逸話でありました。
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