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林哲夫の文画な日々2
by sumus2013


太田垣蓮月尼展

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野村美術館で二十日まで開催されている「大田垣蓮月尼展」を見た。

大田垣 蓮月尼展
幽居の和歌と作品
http://www.nomura-museum.or.jp/publics/index/16/

京都に長らく住む二人のアメリカ人のコレクションだそうだ。掛け物もよかったが、とくに焼き物が良かった。これだけの数を見たのは初めて。蓮月は長生だったのと著名だったことから作品数が多く、生前から贋物が横行したという。しかしさすがにここに並んでいるのはどれも筋のいいものばかりだった。素人の手捻りには違いないのだが、かなりの多作だったようで、そこに自ずから素人なりの修練と、そして何より、努力しても得られないであろう、蓮月その人の気品が表れている。これほど佳いとは正直思わなかった。この展覧会を教えてくれたTさんに深謝。

この展覧会のちらしをもらおうと思ったら置いてなかったので(HPに掲載)、杉本秀太郎『大田垣蓮月』(中公文庫、一九八八年)のカバーを掲げておく。画は富岡鉄斎が描くところの蓮月である。讃は谷鐵臣。《予常訪老尼於西賀茂邨老尼眼光炯々射人而応接恭倹如村婆子可謂女中美傑》目つきは鋭いがやさしい村のおばあさんという感じだったそうだ。丁酉とあるから明治三十年だろう。谷七十五、鉄斎六十一。鉄斎は十五歳ごろから蓮月の侍童として同居していた時期もあり、尼の歿年(明治八)まで親しくしていたから、面影がよく写されていると思われる。

この本、かなり前に求めてずっと棚に差したままだった。これをきっかけに読んでみよう。なんとなく同業仏文・中村真一郎の頼山陽を意識していたのではないかと、今ちょっとページをめくってみて思ったりした。



by sumus2013 | 2014-04-18 20:55 | もよおしいろいろ | Comments(0)
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