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林哲夫の文画な日々2
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山之口貘その他


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『山之口貘 猫 ねずみ りんね』(ヒロイヨミ社、二〇一三年一二月七日、編集・制作=山元伸子、http://hiroiyomu.blogspot.jp)を頂戴した。深謝です。

山之口貘の詩三篇にそれぞれ秋葉直哉、宮浦杏一、永岡大輔の三氏によるエッセイを付してある。活版刷り。表紙と詩篇はマーメイド、本文は薄手の上質紙、見返しに遊紙にチリ入りの用紙を用い、その色目の取り合わせもシブイ。二百部。


横田順彌『ナイト・スケッチ』(盛林堂ミステリアス文庫、二〇一三年一二月一五日、http://d.hatena.ne.jp/seirindou_syobou/)も届く。稲垣足穂が星新一になったような、しかしもっと軽やかな掌編集。

《まちはづれの細い露地に、アセチレンランプの燈が見えたので、近寄つてみると、露天の古本屋が店を出してゐた。そこで、黒い表紙のぶ厚い本を手にとると、居眠りしてゐた店番の老人が目をさまして、
「その本がほしいのかね。それは、とつてもいい本ぢやよ」
 といつて、ニッと笑つた。
 本をぱらぱらとめくつてみると、ぼくの知らない文字がキラキラチラチラとネオンみたいに輝いててゐた。
「これは、どこの國の本なの?」
 ぼくがたづねると、老人は、
「ふむ、おほかたプラネタリウム共和國のものぢやらう」
 といつた。
 ポケットから十圓玉を五つだして、
「これで買へる?」
 とたづねると、老人は、
「まあ、いいぢやらう。古い本だから、氣をつけて讀むんだよ」
 と注意してくれた。》

この「プラネタリウム共和國」はあと五行で終り。例によって巻末に解説と「横田順彌著作目録」も掲載されている。


『雲遊天下』115号(ビレッジプレス、二〇一三年一二月一五日、http://www.village-press.net)。「江東フォークフェスティバル」スタッフ座談会が冒頭。「吉上恭太インタビュー」もあるぞ! 興味深く読んだのは岸川真「ナシの話・エルモア・レナードを想って」のなかの「西村賢太に会って驚く」。

《僕は「怖い作家だ」「中上健次みたいだ」と仄聞していたので新潮社でお会いするまでビビりまくっていた。殴られたら、反撃していいだろうかと自問自答していた。ところが、現れた西村賢太は腰の低い、本が好きなアニキ的な人だった。》

《こうしたら面白いって提案されても、編集者より私小説を読んでいるから面白さや方法論の蓄積はこっちに分がある。だから書き直しはしません。ただこうしたら売れるって言われたら直しちゃうかもしれないな(笑)」

 僕はそこで、「文學界」に求められて書いた原稿百枚がボツになったことをぼやいてしまったのだ。すると右の返事がきた。書き直しを否定するという断固とした姿勢の表明にハッとしてしまった。》

《書き直しというのは編集者の〈神性〉を示すもので、自分もよく分るのだが、書き手を封じる魔力がある。それでは駄目だ、掲載できないと具体的に言わないでも恐ろしい力がある。掲載してもらいたいので僕なら言う。いや、これまで言ってきた。
「はい、直します」
 という一言をいつも口にした。
 だが、掲載されなくても自分の書いたものを守るため、嫌だと言い、理由も述べる勇気。これはなかなか持てないものだ。僕はそういう対立を辞さない姿勢が大切であると思っていたが、実際にそうしている人物と初めて会った。
 これには衝撃を受けた。》

そういう作家が西村賢太しかいない? というのは、さすがに嘆かわしいぞ。







by sumus2013 | 2013-12-18 20:31 | おすすめ本棚 | Comments(0)
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