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林哲夫の文画な日々2
by sumus2013


あなたの肖像ー工藤哲巳

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阪神電車で梅田まで戻る途中、梅田の一駅手前「福島」で下車し国立国際美術館へ。ビルばかり林立する風景の中を歩いて国際美術館の地下へもぐる(美術館全体が地下にあるのです。下の写真の右端に見える帆のようなものが出入口)。

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旧知の学芸員Sさんから「工藤哲巳をやりますから」とかなり前に聞いていたのでこれは相当リキが入っているなと思って楽しみにしていた。その予想を裏切らない大規模な展示だった。とくに初期の作品、ポロックのドリッピンと少し似たような色とりどりの絵具(プラスチック樹脂?)をクルクルと輪をつくりながら重ねていったような、ある意味、きわめて絵画的な作品が新鮮で、また質的にももっとも充実しているように思えた。立体も初期の方が、こけおどしな感じがあまりなくていい。

外国で制作するようになってから、有名にはなったのだろうが、作品そのものはあまり気持ちのいいものではない。というか、こういうふうにスタティックに美術館の空間に並べて置いただけでは、工藤の意図したところはほとんど伝わっていないのではないかとも思う。ただ、しかし、ではどうすればいいのか、ということになると、やはりモノを並べるしかないので、それはいたしかたないジレンマかもしれない。とは言え、鳥かごシリーズがズラリと一室(というか祭壇状)に並べられていたのにはある意味感動した。こんなに作っていたんだ(売れ線の作品だったのだ)という驚きもあったが、やはり独自の世界をもつ作家だと思ったのである。

個人的に、作者生前では一九八三年九月に京都の galerie16 での個展を見た。「天皇制の構造について」と題されていた。出品目録があるので間違いない。その前年五月の同じ画廊でのカタログも残っている。これらを含めポスターやDMなども丁寧に展示されていたのが良かった。

あなたの肖像ー工藤哲巳 国立国際美術館
http://www.nmao.go.jp/special/
by sumus2013 | 2013-12-03 22:06 | もよおしいろいろ | Comments(0)
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