林哲夫の文画な日々2
by sumus2013
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平凡社/全国書房

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遠藤勁氏より私家版を六冊頂戴した。以前にもいただいていたのだが、今回は新作および増補改訂版だという。まず『平凡社 あの人、この人』から。古河三樹松が取り上げられている。全文。

四谷駅マーケット(新四谷見附橋)脇「古河書店」店主。大逆事件で刑死した古河力作の実弟。平凡社創業者・下中彌三郎の書生から平凡社編集者へ、『名作挿画全集』(昭和一〇〜一一年)などを編纂。私の在籍中は、出入りの書店として図書室や各編集部の資料図書などを納めていた。"見世物研究"の一環か近郊ストリップ小屋の調査?は欠かさず、近況を聞くとその成果をこっそり伝授してくれた。1.4メートルに満たない小躯だったのでカブリツキは得意だったようだ?。愛嬌のあるオジイチャンという風情だった。著書に『庶民芸能ーー江戸の見世物』など。

古河力作のところでも問題にした小躯だが、《1.4メートルに満たない》はたしかに明治生れとしても小躯であろう。他にもいろいろ興味深い方々が在籍されていた。さすが非凡なる平凡社。

『少年の洛中記』も面白い。氏は一九三八年京城生れ。敗戦で引き揚げ、昭和二十一年に縁者をたよって一家五人で京都市へ移住。東京芸大へ入学するまで京都で青春時代をすごされたようだ。まず書店に関する思い出を引用しておきたい。小学生時代の「立ち読み一人巡り」。

まずは家から近い寺町二条の「若林書店」を出発点とする。寺町通を南下して、本能寺向いの同級生・佐々木クンの家「竹苞書楼」はスルーして(漢籍はチョット……)、三条通で東に曲り「そろばん屋」に入る。次は河原町六角あたりの「駸々堂」だ。その頃は四階建てくらいの古びたビルの一階で(そのずーっと後の京宝ビルとは当然違う)、床面積が広く奥では古書も扱っていた記憶がある。そこを出ると向い側に渡り「丸善」に入る。最後は河原町四条近くの西側の「オーム社書店」で終わる。この間、小さな新刊書店や古書店が何軒もあった。美術書専門の「京都書院」はあったかどうかの記憶はない。

全国書房の思い出もある。

御池通を西へ富小路角に散髪屋があり、児童の私はいつもそこへ通っていた。その二、三軒西(柳池中学の東)に、「全国書房」という出版社があった。父親が親しくしていて時々寄っては刊行物を求めていたようで、私も一、二度付いて行った記憶がある。
 普通の町屋を事務所にしていて、なにやら本がいっぱい土間に積んであった。まだ出版社と書店の区別もつかない年頃で、活字だらけの大人の本には興味がもてなかった。
 ある日('49年・小学五年頃)、父親が少々興奮気味に厚い辞書をかついで帰ってきた。全国書房から出た新刊で、『言林』という国語辞典だった。その後高校生まで私専用の字引となったが今は手許に無い。新村出が"新かなづかい"で編んだ戦後初のこの辞書は、発売すぐ全国的にベストセラーとなった。あの近所の地味な会社が作った立派な本に、子供ながら驚いた記憶がある。

今となっては貴重な全国書房の記憶=記録であろう。深謝です。



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# by sumus2013 | 2017-10-16 21:34 | 関西の出版社 | Comments(2)

充たされざる者

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ちょっと外出したついでに立ち寄った古本屋にて。右の分厚い本はカズオ・イシグロ『The Unconsoled 充たされざる者』(faber and faber)。話題の人だからつい買ってしまった。ペーパーバック初版は一九九六年だが、それは表紙のデザインが違っている。昔、その別表紙本を買っていたことをフト思い出した(前の引越のときに処分)。

カズオ・イシグロ『The Unconsoled』(faber and faber, 1996)

バスで帰宅したので車中で少し読み始めてみた。あるホテルにやってきた客。受付に誰もいない。暫く待ってやっとチェックイン。ボーイが部屋までエレベーターで案内してくれるが、重い荷物を二つ、床に置かないでずっと手に持っている。置いたらいいのに、どうして?と客は尋ねる。すると年老いたボーイは自分のルーツェルン(スイスの町)での経験を語り始める……その会話がいつ果てるともなく続いて行く(とここまでしか読めなかった)。こりゃ、分厚くなって当り前。ただし英語はきわめて読みやすい。いずれ続きを読んでみたい。下記のブログに紹介がある。


左側のもう一冊は Lesley Reader『Book Lovers' London 愛書家のロンドン』(Metro Publications, 2006)。ロンドンの本好き拠点案内。ロンドンへ行く予定はないけれど、写真を見ているだけでも楽しいね。

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写真は新刊書店「Shipley」70 Charing Cross Road


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「古本屋および古書籍商」の章扉
写真は「Any Amounts of Books」56 Charing Cross Road


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Cecil Court の古本屋街



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# by sumus2013 | 2017-10-14 20:40 | 古書日録 | Comments(0)

朝陽閣鑑賞錦繍帖

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『朝陽閣鑑賞錦繍帖 巻下』(藝苑叢書、風俗絵巻図画刊行会、一九二〇年)。下巻のみ均一台にて。

フロイス堂 朝陽閣鑑賞錦繍帖 全2冊

明治16年に大蔵省印刷局(朝陽閣)より刊行された名物裂の図録『朝陽閣鑑賞 錦繍之部』を、中本2冊にして復刊したもの。裂の図版29点は全て多色木版摺で再現されています。

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パッと見た目には、実物の裂(きれ)を貼付けてあるのか、と思うくらいよくできた図版である。この時代にもまだまだ木版画の技術は残っていたようだ。


図書館は文庫本を貸し出さないでほしいと文藝春秋の社長自らが全国図書館大会で訴えたという。気持は分る。小生も本を出している身としては、拙著が図書館で何人待ちだと聞いても、ぜんぜん嬉しくない。ただ、貸出し禁止になったからと言って文春文庫の売り上げが回復するか、どうか、それは分らない、というかほとんど関係ないような気もする。結局、人気が集中するのは売れている本であって、売れていない本は貸出し率も低いのではないか? 創業者である菊池寛(讃岐出身です)の意見が聞けたらさぞ面白いだろうが。

菊池寛『文芸当座帳』(改造社、一九二六年)

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# by sumus2013 | 2017-10-13 20:14 | 古書日録 | Comments(0)

藤井孫兵衛肖像

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星野画廊で開催中の「大政奉還150周年記念展 新発見!《戊辰之役之図》鳥羽伏見の戦い勃発の夕、京都御所では何が起きていたのか 〔150年目の証言〕併催「明治絵画拾遺選II」」展覧会図録を頂戴した。

星野画廊

小波魚青(1844 伊予国宇和島〜1918 長崎市)の描く「戊辰之役之図」もさることながら、「〈明治の群像〉関西の初期洋画家達」と題された諸作がいかにも星野コレクションらしくて面白い。なかで注目したのは上の肖像画。山内愚僊作「藤井孫兵衛肖像」。

五車楼の当主は江戸の創業時より代々「孫兵衛」を名乗り国学や漢学の出版で名を馳せた。新古美術品展覧会目録編纂者としても知られる。ところが10代目孫兵衛は病弱だったために弟の孫三郎に11代目を譲り隠居した。その後11代目も30代で亡くなり、書肆五車楼はとうとう閉店してしまったという。
 山内愚僊は10代目孫兵衛の21歳の時の肖像を、伊藤快彦は孫兵衛の祖母、知玉を描いた。》(本図録より)

藤井孫兵衛についてはブログ「関西の出版」に以下のように出ている。

《藤井孫兵衛 菱屋 五車楼
 創業者は孫兵衛. 近江大津の出身. 漢学者岩垣松苗の家で学僕をしていたが, のちに同家の著述ものを譲り受けて, 明和年間(1764〜71)に出版したのが始まりといわれる. 五車楼は12代続いた書肆で, 代々孫兵衛を継承した. 8代目のときが明治維新改革の時期で, 国学や漢学の旺盛期になったことから, 五車楼版の『国史略』や『十八史略』などが読書界人気の中心になった. また中学校, 師範学校の学制施行により, 教科書に採用されるなど9代目のころ全盛期となった. 9代目は病気のため42歳で死去, 長男泰二が4歳で10代目を継ぎ42歳で死去, 弟が11代目を継いだが30代で死去したのち閉店》(『京都出版史』日本書籍出版協会京都支部、1991)http://westedit.exblog.jp/11516471/

最近この名前、どこかで見たな、と思ったら、自分のブログで紹介していた。

皆川淇園・編次『習文録』(藤井孫兵衛、一八七六年五月一八日版権免許)

とにかく、明治中期の出版人の肖像画というのは案外珍しいのではないだろうか?

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# by sumus2013 | 2017-10-11 20:54 | 関西の出版社 | Comments(0)

博士の本棚

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小川洋子の書評を中心としたエッセイ集『博士の本棚』(新潮社、二〇〇七年七月二五日)。上手なエッセイを書く小説家だ。いろいろ参考になる意見がちりばめられている。例えば、村上春樹と柴田元幸の対談『翻訳夜話』(文藝春秋、二〇〇〇年)を評したくだりで次のように書いている。

カーヴァーの『COLLECTORS』とオースターの『オーギー・レンのクリスマス・ストーリー』を、お二人がそれぞれに訳した章は、大きな手掛かりを与えてくれる。同じ小説の二種類の訳を読むと、いかに翻訳者が注意深く自己の息をひそませ、作者の声に耳を澄ませているかが伝わってくる。当然、言葉の選択やつながり、文章の切り返しは違っているのに、決して揺らぐことのない、あらゆる差異にも損なわれることのない共通の響き、つまりはうねりが存在しているのである。》(「翻訳者は妖精だ」初出『波』二〇〇〇年一二月号)

翻訳は可能か? という永年の疑問に対するひとつの答えになり得るかもしれない。また、それは小川自身のフランス語の翻訳者に対して感じた印象につながる。村上春樹の発言から「親密で個人的なトンネル」を引きながらこう書く。

フランス人翻訳者との間に通じた温かみは、たぶんこのトンネルを伝ってきたに違いない。トンネルを堀り、物語を探索した向こう側に、書き手である私がいる。私たちは誰にも邪魔できない、二人だけの秘密の通路を共有し合うことになる。

小川の翻訳に当っているのはローズ・マリー・マキノという女性である。二〇〇〇年の六月、小川はパリの版元アクト・シュッドを訪れたとき彼女との間に《同じ作品を共有する書き手同士である》ことを感じた。これが良き翻訳のカギなのである。

ACTES SUD は先日触れた吉村昭の『La jeune fille suppliciée sur une étagère(少女架刑)』(ACTES SUD, 2002)の版元でもあり、フランスの文学系出版社のなかでは目立った存在。小川はパリのサンジェルマン・デプレ教会の近くにある編集室を訪れてこういう感想を持った。

静かな建物だった。緑の美しい中庭に面した部屋は、どこも本や印刷物が無造作に積み上げられ、壁には雑誌の切り抜きがペタペタと貼られていた。ものを作り出そうとする活気と、文学に対する思索的な雰囲気の、両方にあふれた空間だった。
 仏訳が出版されるたび本を送ってもらい、書評が出ればどんな小さな記事でもコピーを送ってもらい、ACTES SUD とはもう馴染みになっているつもりでいた。ただ日本にいる間は、自分の作品が遠いフランスで本になっているという実感を、どうしても持てなかった。ところが、編集室に一歩足を踏み入れた途端、リアルな安堵感を覚えた。テーブルの端に置き忘れたコーヒーの紙コップや、電気スタンドの笠にクリップで留めた黄色いメモ用紙や、そんな何気ない一つ一つが、私の小説のために人々が真摯に働いてくれている、証拠のように思えた。》(「パリの五日間」初出は『群像』二〇〇〇年九月号)

これも共感ということなのであろう。ただ、デプレ教会の近くにアクト・シュッドなんかあったっけ? と思って、今、調べてみると、パリ編集部(本拠地は南仏のアルル)は同じ六区ながらセギュイエ通り(18, rue Séguier)へ移転しているようだ。

「続・喫茶店の時代」に入れたい回想もある。早稲田大学第一文学部文芸専修に入ったころ。

大学に進んですぐ、文芸関係のサークルに入り、週に一度読書会を開くようになった。その第一回目のテキストが『死者の奢り』だった。高田馬場のルノアールで、七、八人がそれぞれに新潮文庫を持ち、小さな声でも聞き取れるようできるだけ身体を近づけ合って、三時間近く議論した。

新入生としての緊張と、ルノアールの柔らかすぎる椅子のせいで疲れきり、わたしは早く終わらないかとそればかり考えていた。ようやくお開きになる雰囲気が見え始めた時、先輩の女子学生がつぶやいた。
「わたしはもっと、徒労感にこだわりたいのよね。」
 そこからまた延々と読書会は続いていった。おしまいには、文庫本は表紙が汗で反り返っていた。

う〜む、ルノアールも迷惑だったろうなあ……。





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# by sumus2013 | 2017-10-10 20:49 | 古書日録 | Comments(0)

BOOK ART 2017展

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BOOK ART 展 2017
2017年10月10日〜22日

山崎書店
http://www.artbooks.jp


二点ほどオブジェを出品しています。

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カフカ作品集



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ディラン・トマス詩集その他


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# by sumus2013 | 2017-10-10 08:51 | 画家=林哲夫 | Comments(0)

平野甲賀と晶文社展

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京都市の右京中央図書館へ寄ったついでに「平野甲賀と晶文社展」へ。われながら意外なことに初めての訪問。立派な施設である。

京都dddギャラリー第214回企画展
平野甲賀と晶文社展
2017年09月04日(月)~2017年10月24日(火)

上面が斜めになった平台に晶文社本がズラリ。600冊。なかなか壮観である。自由に手に取って本を見て良いということで、あれこれ、物色。持っていたというのも多数あるし、めったにお目にかかれない貴重書もある。エンピツ書きの値段がないのが寂しい(苦笑)。晶文社の所蔵本なのだろうか、「見本」というハンコが多くの本に捺されていた。これは最近では見られない習慣だと思う。

『出版事典』(出版ニュース社、一九七一年)によると「見本」にはいろいろな意味合いのものがあるが、ふつうは発行直前に予約注文用または見込み注文用に取次に対して提出される「実物見本」のこと。取次はこれによって仕入れ部数を決めるのだそうだ。そして

見本品にはすべて〈見本〉印をおすことになっている

なるほど、そういうことだったか。

壁面には甲賀文字でレイアウトされた刷物(描き文字)がズラリと並ぶ。自由自在な文字が、まさに躍って目を楽しませてくれた(1点35,000円で購入できるようだ)。

以下のリンクはこれまで拙ブログで紹介してきた平野甲賀さんの装幀本。こんなにあったか!

津野海太郎『花森安治伝 日本の暮しをかえた男』(新潮文庫、二〇一六年)

小沢信男『捨身なひと』(晶文社、二〇一三年)

津野海太郎『花森安治伝 日本の暮しをかえた男』(新潮社、二〇一三年)

『平野甲賀の仕事 1964-2013 展』(武蔵野美術大学美術館・図書館、二〇一三年)

内堀弘『古本の時間』(晶文社、二〇一三年)

五木寛之『わが心のスペイン』(晶文社、一九七二年)

渡辺英綱『新宿ゴールデン街』(晶文社、一九八六年)

ピエール・ガスカール『街の草』(篠田浩一郎訳、晶文社、一九六九年)

坂崎重盛『東京読書ー少々造園的心情による』(晶文社、二〇〇七年)

平野甲賀『もじを描く』(編集グループ〈SURE〉、二〇〇六年)

晶文社の犀のマーク

唐澤平吉『花森安治の編集室』(晶文社、一九九七年)

小野二郎『紅茶を受皿で』(晶文社、一九八二年六刷)

『植草甚一スクラップ・ブック全四十一巻』(晶文社、一九七六年)

『植草甚一主義』(美術出版社、一九七八年)

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# by sumus2013 | 2017-10-09 20:02 | 装幀=林哲夫 | Comments(0)

ありがとう、立誠小学校

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7、8、9日と元・立誠小学校で「ありがとう、立誠小学校 RISSEI PROM PARTY」が開催されている。これが見納めになるかもしれないと、出かけてみた。中古レコード店の出品が中心だが、古本、新刊書もかなり並んでいて楽しめた。

それにしてもこの建物、うまく使えば、いい感じになると思うのだが……これからどうなるのか、心配だ。

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三階に和室。京都の小学校はどこもみな和室がある。



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# by sumus2013 | 2017-10-08 19:26 | 古書日録 | Comments(2)

小説新潮

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『小説新潮』四冊(新潮社、昭和二十七年四月、六月、九月、十月号)を頂戴した。深謝です。いずれにも花森安治の執筆がある。連載「暮しの眼鏡」。

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四月号


「暮らしの眼鏡」は要するに花森流「非常識のすすめ」である。常識にとらわれないものの見方を次々と披露してくれる。

四月号ではまずプレゼントがやり玉に上がっている。プレゼントには役に立つものを贈ること。とくに結婚プレゼントには、生活必需品を友人知人たちが手分けして贈れ。これなどは一時期そういう流行があったように思うが、案外この花森の提案あたりがきっかけだったか。またこうも言う。

 《世帯道具一式の目録に、とかく忘れがちなのは、大工道具。これは、祝ってくれるにせよ、くれぬにせよ。新婚のスタートにはゼヒ調達せねばならぬもの。大工道具というふものは、新婚のときででもなければ、ふしぎに、これがなかなか買へぬもので、そのくせ、思つたより案外これが必要なもの

新婚ではなく倦怠期の家庭には、ナベカマを一通り新しくすることを勧めている。女性が男性にネクタイを贈るときには自分がしめるつもりで選ぶこと。どのガスストーブの栓も右側に付いている不便について(マッチでガスを点火する時代です。右手でマッチを摺るから左手でガス器具の栓をひねる、よって栓は左側にあるべき、という理屈)。椅子の生活に変りつつあるのにちょうどいい椅子が売られていないことについて。

ゆめにも五十年もつ椅子など作らうと思はず、フランスにまけぬデザインを作らうと思はず、分相応、いまの暮しに間に合はせやうといふ、その気持を買ひたいのである。

現実主義だなあ。他には、蛍光灯は料理がまずく見えること、料理屋のおやじが食べ方についてあれこれ客に指図すること、模様のない白い西洋皿が売られていないこと、などに腹を立てている。もっともナリ。

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花森以外では茂田井武の挿絵が嬉しかった。尾崎士郎「風わたる九十九谷」。

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六月号

また、日本各地の美女を写真で紹介する巻頭グラビア「故郷の美」の撮影者を見てビックリ。毎号どこかの県を訪ねて五点ほどの写真を掲載しているが、その撮影がすべて小石清なのだ! やはりひと味違うなあ……。

小石清は大阪生まれの前衛写真家である。
http://sumus.exblog.jp/19040455/

上の六月号は「香川県の巻」の一枚。ここで面白いと思ったのは、巻頭写真に対応する「お国自慢讃岐風土記」という記事。執筆したのは岩田幸雄、その肩書きは「高松市経済部観光課長」。小豆島のオリーブ、丸金(マルキン)醤油と挙げて

高松に船をかへせば、七色のネオンまたゝく丸亀町、南新町、常盤街、片原町等殷賑を極め、特産の漆器、日傘、和紙、郷土玩具、銘菓等が手をひろげてまつてゐる。

讃岐の産物を知り尽くした観光課長による紹介文なのに「うどん」の「う」の字もない。世の中変わるものである。オリーブは今も売り出し中なり。



カズオ・イシグロ、ノーベル賞を受けて、過去の記事にアクセスが集中しているようだ。

日の名残り The Remains of the Day

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# by sumus2013 | 2017-10-07 21:07 | 古書日録 | Comments(0)

青い照明

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井上靖『青い照明』(山田書店、一九五四年一〇月二五日、装幀=有井泰)。雨の日、善行堂へ立ち寄ったら、ポンと置いてあった。これはいい感じと思って確かめると装幀は有井泰。お久しぶり。

装幀 有井泰

有井泰ふたたび

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善行堂主人と雑談していると、今度の日曜日(8日16:00〜)に守口駅前で岡崎氏と漫才をやるそうだ(!)。お近くの方はぜひ。

MORIGUCHI BOOK BOND
岡崎武志×山本善行 古本トークショー「ここがわたしたちの守口(再)」

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# by sumus2013 | 2017-10-06 20:45 | 古書日録 | Comments(0)