林哲夫の文画な日々2
by sumus2013
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橘小夢

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弥生美術館

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by sumus2013 | 2015-03-03 20:15 | もよおしいろいろ | Comments(0)

煎茶道

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京都では店先に安い色紙や短冊を積み重ねている書画屋が何軒かある。ときおりざっとめくってみたりするのだが、さすがにいくら安くても買おうとまで思う品物は見つからず、最近はほとんど通り過ぎている(そういう手間を惜しんではいけないと思いつつ)。この色紙は書画屋ではなく古本屋にて。字も絵も文字通りの意味で「上手い」とは言えないが、ひとつのスタイルとして素直な味がある。なんとはなく手放し難い気がして求めることにした。喫茶店のコーヒー一杯よりも安い。

文言は見ての通りで難しいところはないだろう。署名が「煎茶道人」、印は「濤香軒」と「泰山」。検索してみると下記のようなページが見つかった。

煎茶道泰山流のご紹介
http://www.nishide.com/taizanryu/taizanryuu.html

《崩場泰山氏を初代家元とする煎茶道の一流派。泰山氏は1914年に石川県で生まれ、京都に出て働きながら茶道の修行に励み20代半ばにして独立を決意。現在の流派をおこされました。現在は初代の奥様の椿山氏が2代家元を継承されています。》

崩場泰山(一九一四〜九四)の色紙であった。ということでこれ以上語るべき言葉もないため、もう一点、煎茶つながり、中島庸介『煎茶道』(芸艸堂出版部、一九四七年七月二〇日、装幀=松林桂月)を紹介しておこう。

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著者の中島庸介については伯父(叔父?)の城齋が「跋」において以下のように書いている。

《君の家系を繹ぬれば家代々由緒ある甲冑刀剣商にして、殊に祖父與三郎氏は、鑑識力に富み、福井大藩に在りては、同業なきにあらざれども、当時氏と肩を比ぶる程の業者は無かりき。祖父没し、時世推移し、父藤蔵氏が家を嗣ぎたる頃は、世の中全く一変して、刀剣薙刀の如きは良否善悪の差別を失ひ、殆ど世に棄てられ、二束三文とも云ふ時代を見るに至る。之が為め藤蔵氏は蹶然起つて家郷を去り、東京に出て、京橋大鋸町に店舗を開き、専ら骨董品のみを商とし、傍ら自得の鑑定をも為して、他の幾多同業者にも便宜を謀り、共存共栄を以て専ら任じたる結果は、業者同士よりも多大の推重せらるる所となり、隠然乃公株たりしが、中途不治の病症に罹り、齢知名の越せしばかりにて歿せしは今猶ほ知る人は惜しみて止まざる所なり。
 庸介君、父の後を襲ひ、少壮の頃二十年間は家業の恢復容易に成らず、あらゆる困苦欠乏に耐へ、奮闘を重ねたる状態は、血の涙を以てせざれば到底語り尽せぬものあり、去れども君の不撓不屈なる努力は遂に酬いられて今や漸く家業の中興を見るに至り、勢力隆々たるは、父祖に対する一大面目と云ふべきなり。

骨董商(茶道具商か)のようである。しかし内容を読むとかなり茶の文献に通じており勉強家だということが分る。茶の起原から説き起こし、日本の茶道、茶の効用、煎茶と抹茶そして近世の煎茶を愛好した文人たちを並べてあり、簡潔な記述はちょっとした茶道虎の巻の感あり。

いろいろ引用の誘惑にかられるくだりはあるのだが、ここでは抹茶に対して煎茶道の利点を説いた文章を引いておくだけにとどめる。

《煎茶の方は、式も簡素であり、打寛ろぎ、打解けて、これを味ひ楽しみ、抹茶のように一つの道具を拝見するにも思つたことを率直に言ふことを差控えるなどといふ窮屈さがない。これが抹茶より煎茶が喜ばれたわけで、気の合つた人々が寄り集つて、清談を交はし、風流を語りあひ、時には書画を持ち寄つて鑑賞し、或は琴など弾き、碁を囲み、棋を闘はすなど、所謂琴棋書画の清興をそのまゝに行くといふことなど、煎茶でなければ味はへぬところである。

 かうした処から、書画骨董に対する趣味などは、自然深くなり、お互に腹蔵なく思ひのまゝを語り合ふといふ点が、自から鑑賞眼を高めてゆくといふことになる、さりとて煎茶道は、決して富貴有閑の人々に限られて行はれるものではなく、茶器の如きも、高下を論ぜず、茶器でさへあれば、如何なるものを用ひても、その心構へ立派なら、其の真髄を味ひ得るといふ特長がある。この点が文人墨客などに喜ばれて、売茶翁の流れを汲む人々が続々と現はれ、流派と称するものも、今日では二十有余を数ふるに至つたわけである。》

腹蔵なく思ひのまゝを語り合ふ」のに「高下を論ぜず、茶器でさへあれば、如何なるものを用ひても」いいというのは、なかなかに微妙な表現ではある。この後さらに実際に即して煎茶の優れた点を数え上げているが、それは略する。なかなかいい本である。たしか知恩寺で五十円だった。






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by sumus2013 | 2015-03-02 20:36 | 喫茶店の時代 | Comments(0)

書き捨てた言葉

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昨日は川端彌之助作品展を見終わった後、市中まで戻り、さらに銀閣寺道の善行堂まで足を伸ばした。必要があって吉田健一の単行本を何冊か欲しいと思ったのである。すると主人はすぐにこの『書き捨てた言葉』(垂水書房、一九六二年五月一五日、造本=芝本善彦)を棚から抜き出して手渡してくれたのだが、意外にも他には著作集のバラが二冊だけしかないという。残念だが仕方がない。

帰途、バスのなかでさっそく読み出した。外国人旅行者で混み合っている。中国人は言わずもがな西洋人も韓国やその他のアジアの人たちも乗り合わせている(なにしろ銀閣寺ですから)。旅行用の大きな荷物を持っている者もおればベビーバギーに子供を乗せたまま乗り込んで来るファミリーもいる。これはパリのバス車中でも経験したが、ベビーバギーのお母さんは強いのである。乗客と軽い言い争いになっていた(なんでこんなに混み合っているバスに乗ってくるんだよ、と先客としては当然の苦情に対してパリ・ママンは負けずに言い返していた、私にも乗る権利はあるのよ、みたいな感じで)。

最初に目を通した「或る時代の横光利一」には横光の身辺が細かに描かれていて参考になった。例えば銀座コロンバン【喫茶店の時代】

《昭和十年頃の銀座は人通りも少くて、実際にぶらぶら歩いて行けたし、向うから歩いて来る人間も直ぐ目に付いた。コロンバンがテラス・コロンバンといふフランスのカフェ風の店を本店の二、三軒先に出してゐて、今は銀行か何かが建つてゐる所へ新宿の紀伊國屋の銀座支店があった頃のことである。その入り口の陳列台にはいつも文芸関係の新刊書が一杯並べてあつて、佐野繁次郎氏が装釘した横光さんの本も勿論、出ると直ぐにそこに並んだ。その辺を、髪を長くした男が黒っぽい鉄色の和服姿で歩いてゐるのに出会ふことがあつて、それが誰なのだらうと思はずにはゐられなかつた。それから資生堂でも見た。こつちが二階にゐて、下の窓際の卓子にその男がゐるのでどう勘違ひしたのか、それが嘉村礒多ではないだらうかと思つた。文学青年は妙なことを考へる。横光さんを知るやうになつてから、資生堂には度々連れて行つて戴いた。》

コロンバン
http://sumus.exblog.jp/17755871/

銀座通りの市電
http://sumus.exblog.jp/18505354/

尾張町の竹葉亭も贔屓だったそうだ。鰻は食べずに前菜風のものを色々とって酒ばかり飲んだという。また出雲橋際のはせ川では息抜きのひとときを得たようである。

《当時の文藝春秋社があつた大阪ビルからどこまでも真直ぐに銀座の方に歩いて行くと、やがて銀座の電車通りを越して出雲橋に出た。そのこつち側の、向つて左にあるはせ川に入つて行くと(はせ川は今でも同じ場所にある)、横光さんがよく一人で来てゐて、或る時代の横光さんの日記を見ると、殆ど連日、はせ川に行つたこととそこで会つた人達の名前が書いてある。少なくともここでは、横光さんの緊張に答へるのに他の客の、ただ畏つてばかりゐるのでないもつと生き生きした緊張があつて、はせ川では横光さんにも休みがあつたに違ひない。》

『書き捨てた言葉』には《造本 芝本善彦》とある。垂水書房の最初の出版物は吉田健一『シェイクスピア』(一九五六年)だが、その特装本も芝本善彦造本であった。垂水書房の天野亮が信頼を置いていた造本家(装幀家)に違いない。天野亮については西村義孝「垂水書房と天野亮と吉田健一と」(『サンパン』第三期第十四号、二〇〇八年)にこう書かれているので参考までに引用しておく。

天野亮は、郷里が淡路島、東京文理大学で福原麟太郎に学び、外山滋比古の後輩、池田書店へ就職し編集者となり、その後垂水書房を興したが行き詰まった、その後は不明です。

芝本善彦については経歴などもすぐには分らない。『雄鶏通信』(雄鶏社、一九四五年一二月)の編集者として名前が出ているから、元来は編集畑の人間だったのかもしれない。それが一九五〇年代から装幀者として活動を始めた。はっきり名前が出ているだけでもかなりの冊数を手がけている。以下はカナブンの装幀者検索の結果。

1.小林秀雄 江藤淳著 講談社 1961.11.30 
2.心に残る人々 白洲正子著 講談社 1963.3.10(昭38) 
3.年月のあしおと 廣津和郎著 講談社 1963.8.10(昭38) 
4.年月のあしおと 広津和郎著 講談社 1963.9.20(昭38) 2刷 
5.年月のあしおと 廣津和郎著 講談社 1963.11.10(昭38) 4刷 
6.静かな影絵 丸岡明著 講談社 1965.3.25(昭40) 
7.静かな影絵 丸岡明著 講談社 1966.3.30(昭41) 2刷 
8.風雪夜話 近衛秀麿著 講談社 1967.1.20(昭42) 
9.成熟と喪失 江藤淳著 河出書房 1967.6.5(昭42) 
10.續 年月のあしおと 廣津和郎著 講談社 1967.6.15(昭42) 
11.空気頭 藤枝静男著 講談社 1967.10.12(昭42) 
12.河上徹太郎全集 第1巻 河上徹太郎著 勁草書房 1969.5.31(昭44) 
13.河上徹太郎全集 第2卷 河上徹太郎著 勁草書房 1969.6.30(昭44) 
14.河上徹太郎全集 第3卷 河上徹太郎著 勁草書房 1969.10.20(昭44) 
15.河上徹太郎全集 第4巻 河上徹太郎著 勁草書房 1969.12.20(昭44) 
16.芭蕉庵桃青 中山義秀著 中央公論社 1970.1.30(昭45) 
17.河上徹太郎全集 第5卷 河上徹太郎著 勁草書房 1970.7.25(昭45) 
18.小説家の小説論 安岡章太郎著 河出書房新社 1970.10.30(昭45) 
19.河上徹太郎全集 第7巻 河上徹太郎著 勁草書房 1970.11.20(昭45) 
20.河上徹太郎全集 第6卷 河上徹太郎著 勁草書房 1971.5.20(昭46) 
21.河上徹太郎全集 第8卷 河上徹太郎著 勁草書房 1972.1.31(昭47) 
22.内田百閒の自選作品 内田百閒著 限定 二見書房 1972.10.30(昭47) 現代十人の作家 1 
23.閑な老人 尾崎一雄著 中央公論社 1973.3.15(昭48) 再版 
24.竒談の時代 百目鬼恭三郎著 朝日新聞社 1978.8.30

これら以外にも詳しく探せばまだ出てくるようだ。

吉本隆明『共同幻想論』(河出書房新社、一九六八年)題字撰:芝本善彦
山田一雄『一音百態』(音楽之友社、一九九二年)装丁:芝本善彦

こうやって並べてみると『共同幻想論』の題字は印象に残っているし、『年月のあしおと』や『静かな影絵』は好ましい装幀だと前から思っていた。ただ、あまり強い調子でなく素人っぽいところもあって特段に注目してこなかった。不覚だ。今後はもっと芝本善彦に注意しよう。

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by sumus2013 | 2015-03-01 21:42 | 喫茶店の時代 | Comments(0)