林哲夫の文画な日々2
by sumus2013
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夜雪庵金羅

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このところ毎日この俳句を眺めて苦悩している。署名は「夜雪」印は「金羅」、それはいいとして、上五からどう読んでいいのか分らない。「□□に(丹)」だろうか。中七は…ね(?)、り(?)、き、る(?)、空、や(?、の?)。下五は「遠蛙(とほかはつ)」と思うのだが。ならば季は春となる。御教示を乞う。

近藤金羅(天保元 1830〜明治二十七 1894)。江戸湯島の生まれ。三世金羅に学び、夜雪庵金羅四世を継いだ。名は栄治郎、別号に三万堂、珍斎其成。正岡子規以前に「俳句」という言葉を使い始めた宗匠だと言う。

夜雪庵金羅(四世)



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by sumus2013 | 2014-12-24 20:23 | 雲遅空想美術館 | Comments(0)

バナナ

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【ほんのシネマ】
「ウディ・アレンのバナナ」(ウディ・アレン、1971)のDVDを頂戴した。ウディの本格的な監督第二作ということで、ギャグがむちゃくちゃベタである。例えば、このシーン。会社帰りの主人公が文房具屋・本屋に立ち寄ってエロ本を買おうとしているところ。あれか、これかと大いに迷って、結局「タイム」などの真面目な雑誌を三冊重ね、その一番下にエロ本一冊しのばせる。

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ところが、店主は「この"オーガズム"(もち、エロ本のタイトル)いくらだったっけ?」と大声で店員に尋ねる。となりの中年婦人に睨まれて、あわてて社会科学の資料のためだとかなんとか聞かれてもない言い訳をする。

ご覧のように雑誌は本棚でもラックでもなく、クリップで吊るしてある。ニューヨークではこういうのが当たり前なのだろうか。

その後、地下鉄でチンピラにからまれている婦人を助けるのだが、結局つるしあげられてしまう…というシーンにチンピラの一人として若きシルベスター・スタローンが登場。これがこの映画のいちばんの見所、かもしれない。

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失恋した主人公は中米の小国へ旅に出る。軍事政権下のその国で謀略に巻き込まれ、成り行きで反政府軍の一員となり、知らぬ間に革命に加わって、あれよあれよという間に大統領になってしまう。七〇年代初頭の政治や社会の様子がある意味リアルに伝わってくる。ギャグはほんとにくだらないが。


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by sumus2013 | 2014-12-23 21:21 | 古書日録 | Comments(0)

中野智之さん死去

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中野書店の中野智之さんが十二月十七日に亡くなられたという報せが届いた。肺がんのため。享年六十。五月頃までは特に変った様子もないように見えたそうだが、七月にはもう店にも姿を見せなかったという。

アンダーグラウンド・ブックカフェのときには大変お世話になった。中野さんのご自宅は荻窪の北にあり「そらの下」と呼ぶ複合施設だった。「古本倶楽部」と劇場と自宅を兼ね備えていた。中野さん自身、長身でハンサム、とても古本屋のおやじには見えなかったのだが、奥方も美しく気さくで、お二人ともに演劇に情熱を燃やしておられたのが、傍目にも羨ましいくらいだった。

その頃だったろうが、さぼうるという喫茶店で中野さんと、八木福次郎さんもおられ、もう一人長老の方がおられ、業界の話をしていた場に同席したことがあった。たまたま『東京古書組合五十年史』に話が及び、新版を出したらどうかと長老の方がおっしゃって「中野くんあたりが率先してやってくれないかい」と続けたのをよく覚えている。中野さんの人間と能力を信頼しての言葉だと思った。そういう意味では、アンダーグラウンド・ブックカフェの斬新さも含めて、古書業界にとっても損失は小さくないだろう。

中野書店が神田古書センタービルに入ったのが一九七九年。小生は阿佐ヶ谷に住んでいたが、ちょっと敷居が高いように思えて、たしか一度だけしかそこには行ったことがなかった(というか、神保町にはあまり足が向かなかった)。アンダーグラウンド・ブックカフェに付随したいろいろなイヴェントに参加させてもらっていたときが特に親しくさせてもらった頃だった。古本屋になるつもりはなかったと聞いた覚えもある。穏やかな話ぶりのなかにも、辛辣な批評も出たりで、負けず嫌いなところがのぞいていた。そしてその分だけ勉強もしておられるようで、たのもしく思ったものだ。

最近ずっと『日本古書通信』に連載されておられた古書や文書などをちょっと斜めに読み解くエッセイは中野さんのキャリアと勉強ぶり、そのユーモア(多少スベッた感じがいい)のうかがえる好読物だった。連載がなくなったので「あれ?」と思ったのだが、こんな形でその理由を知らされるとは……。

今年は辛い報せが多すぎる。そういう年齢に自らがさしかかったというだけのことに過ぎないのだろうが、それにしても。






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by sumus2013 | 2014-12-22 21:56 | 古書日録 | Comments(4)

扶桑書房古書目録

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『扶桑書房古書目録』第三号から第六号までを入手した。一号と二号はすでに紹介してある。いずれも刊行年は明記されていない。

『扶桑書房古書目録』第一号

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by sumus2013 | 2014-12-21 14:34 | 古書日録 | Comments(0)

観楓紀行10

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明治二十九年十一月二十二日。朝から烈しい雨。中桐絢海は雨を冒して石橋翁(石橋雲来)を訪ねて別れの挨拶をする。そこに先客として河内の人・氈受楽斎がいた。亀谷省軒の詩を受け取る。

《石橋翁云フ今日午後四時ヨリ安土町書籍商集会所ニ於テ書画会アリ青蘭女史ノ幹事ナレハ倘シ烈雨ニテ出船ノ延却スルコトモアレハ来遊セヨと予諾シテ辞去ス》

次いで緒方病院を訪ね、一緒に大阪まで同道した花川子(入院している)に別れを告げる。宿に帰ると久保墨仙が見送りに来ていた。墨仙は餞別に紅葉の図と瓢箪一個を贈ってくれる。

安治川町の船着場へ。午後二時三十分、高松直行の第二宇和島丸に乗船。満員だった。絢海が雨の中を急いで帰ろうとするのは、翌日、高松で中川愛山追善の書画展に出席するためだった。しかし午後四時頃、船長が悪天候のため明朝まで出船を見合わすと伝えた。

絢海は一旦宿に戻り、后岡真十郎らと松島の劇場で演劇を見物した。帰途、松嶋遊郭を散策して夜景を楽しんだ。

《近来広闊ナル遊里トナリ中道ニ櫻柳等ヲ移植シ紅葉ノ観ナシト雖モ両側ノ青樓錦繍綺羅ヲ列ス一巨樓アリ樓上ニ仮山ヲ築キ老樹鬱々トシテ碧落ニ聳出セリ加フルニ電燈輝々トシテ行人ヲ射ル樓ニ登ラントスルモ時間ノアラサレハ一段ノ恨ヲ遺シテ一首ヲ詠ス》

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『日本地理辞典』(郁文舎、明治三十九年)より


この夜は船中に一泊。二十三日、雨はようやく上がった。午前八時出発、神戸に着くころには風もおさまって日も暖かになった。一時間停船の後出航。淡路島に沿って進み、小豆島阪手沖を経て高松に帰着したのは午後六時頃だった。澱川樓へ駆けつけたところ、書画会は終わっていたが、まだ残客がいて大いにもてなしてくれた。その席を辞して双松園(絢海の高松の別宅か)へ帰り就寝。

翌日早朝より玉楮(たまかじ)雪堂(漆芸家)を訪問。さらに貴族院議員鈴木東洋邸を訪れて観楓の土産話をする。一番町の久保蘿谷を訪ねる。栗林公園の茶屋で二人で飲みながら、大阪で入手した琴石の画や省軒の詩を見せて盛り上がった。いい気分になっての帰り道、古馬場町の椎名南浦を訪問するも不在。双松園でまた一杯、午後十時頃蘿谷は去った。

二十五日。晴天。早朝より柏原病院を見学して朝食。表具師岡田清太郎が来たので琴石の画と省軒の詩を双幅に装することを依頼した。午前十時、東浜町の船宿で一酌して船を待つ。午後二時出船。帆船なので遅々として進まない。午後七時頃霜村湊に帰着。別業四時園に入って一酌して就寝。翌二十六日、本宅白雲黄葉居に帰り着き、子供等にお土産を渡し、つつがなく戻ったことを喜んで一杯やった。

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めでたし、めでたし。大阪から高速道路で高松まで四時間ほどの今日とは比べようもないのんびりした旅行記ではあった。それにしてもよく飲んでいる。それにも驚かされた。





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by sumus2013 | 2014-12-20 20:54 | うどん県あれこれ | Comments(0)

ル・アーヴルの波止場で

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松井邦雄『ル・アーヴルの波止場で 二十世紀歌謡・映画・ノスタルヒア・港町』(池内紀編、龜鳴屋、二〇一四年一〇月三一日、装画=井上陽子、装丁=一二明子、本文デザイン=龜鳴屋)が届いた。まずはそのカバーの渋さ、美しさに息をのむ。いきなり井上陽子のファンになった。

GalleyM2 YokoInoue Exhibition
http://www.craft-log.com/exhibition/index.php?page=all

まだ届いたばかりで内容云々はできないが、松井邦雄という人は一九三四年北海道生まれ、TBSに勤めながらエッセイストとしても活躍した。一九九三年歿。池内紀は「編者のことば」でこのように書いている。

《松井邦雄の一冊を編んだ。のこされた六冊をバラして、章立てを考え、あらためて置き直した。こころなしか父親の懐中時計を分解した昔と少し似ていた。ちらばった部品を前にして、いざ組み立てるとなると途方にくれた。
 夢のセールスマンのアタッシュケースのように、ここには不思議な魅惑がいっぱい詰まっている。どれも二十年以上も前、章によっては三十年あまり前に書かれたものなのに、少しも古びていないだろう。頁をくるごとに、特有の色と匂いをもった知的風景がつぎつぎとあらわれる。》

龜鳴屋主・勝井隆則の言葉にはこうあった。

《念願だった松井邦雄のエッセイ選集を出しました。
音楽に映画に船に文学にと、博学無辺の話柄、ノスタルジックで、どこか頽廃の香漂う絢爛美文の嘆き節に、昔、すっかり酔わされ、いまのいままで酔いを引きずってこしらえた一冊です。》

こういう読者を持った書き手は幸いなるかな! 内容についてはじっくり読んでからあらためて。

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松井邦雄、六冊の単行本は以下の通り。

 夢遊病者の円舞曲 作品社 1982
 悪夢のオルゴール 河出書房新社 1984 
 望郷のオペラ 六興出版 1987 
 豪華客船物語 六興出版 1990
 ビギン・ザ・ビギンの幕があがる 筑摩書房 1993
 ヨーロッパの港町のどこかで 講談社 1994


龜鳴屋

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by sumus2013 | 2014-12-19 20:33 | おすすめ本棚 | Comments(0)

銀河鉄道

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『ひととき』二〇一四年一二月号(ウェッジ、二〇一四年一一月二〇日)に内堀弘さんが「古書もの語り」というエッセイを連載しておられるというのを昨日初めて教えてもらい、その一冊を頂戴した。第三回の「『銀河鉄道の夜』」。『岩手軽便鉄道沿線名所図絵』(大正十四年、一九二五)という薄い冊子を紹介しておられる。

《机の上で開くと折りたたまれた絵地図がパノラマのように長く広がって、最後に絵はがきが一枚、パラッと床に落ちた。そこに、小さな蒸気機関車が客車を引いて鉄橋を渡っている写真がある。「これが銀河鉄道か」、私は眼を近づけた。》

小生も思わず眼を近づけた。アニメのイメージとはかけ離れているように思われ「へえ〜」と声が出た。検索してみるとボールドウィン形式と呼ばれる可愛らしい蒸気機関車のようだ。

ボールドウィン形式

「銀河鉄道」のモデル

生前は無名だった宮澤賢治、『銀河鉄道の夜』の刊行も歿後八年経ってからだった。

《昭和十六年に初版が出て、私が持っている第三版は昭和十九年の三月とある。戦争一色に染まった時代に、こんなに豊かで不思議な物語が版を重ねていた。
 鉄橋を渡る軽便鉄道の向こう側に空が見える。夜の車窓に、きっと星空は一瞬広がったにちがいない。》

****

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高橋輝次さんより『塔の沢倶楽部』第八号(箱根塔の沢福住樓、二〇一四年一二月一五日)が届いた。古書目録から入手したという『追悼・氏野博光』(佐藤英知編、こぐま社、一九七六年)を紹介しておられる。氏野博光がどういう人物かは本書を読んでいただきたいが[高橋さん宛に送料160円を同封して申込めば送ってもらえるようです。豊中市緑丘5-2-3。ただし数に限りあり]、次のようなくだりは同感する他ない。

《一方でいろんな人が、氏野氏がけたはずれの「本好き」で、古本漁りにも熱心だったと語っているのを読み、その点でぐっと親しみを覚えたのも事実である。
 例えば、河出時代の部下で、倒産後、日本評論社へ移った清水長明氏は、河出をやめてからも、よく古書店でばったり顔を合し、そのあと、たいてい本のことから話が始まったという。清水氏はこうも書く。
「本に接する態度も敬虔そのものである。チリ紙でホコリを拭いとり、表紙のしわをのばし、消しゴムでよごれを丹念に消す。いつも自分の選んで手にした本はいとし子のように愛惜された」と。私も古本好きながら、ここまで丁寧に本を扱ってはいないなぁ、と反省する。》

そういう編集者が本を作っても倒産するときにはするものだ。河出は戦後ほぼ十年ごとに危機を迎えたらしい。昭和三十年、四十三年、五十二年、六十一年、そして平成十年。『サラダ記念日』や『蹴りたい背中』などのヒットでその都度なんとかしのいだというのだから、文芸出版など、いつも言うけれど、バクチみたいなものであろう。





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by sumus2013 | 2014-12-18 20:06 | 古書日録 | Comments(0)

否定形のブックデザイン

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このところ本好きの間で話題になっている『アイデア』368号(誠文堂新光社、二〇一四年一二月一〇日)。ぜひ買わなければと思っていたら某氏より恵んでいただいた。深謝です。「日本オルタナ精神譜 1970-1994 否定形のブックデザイン」、要するに主に七〇年以降に活躍した(している)個人出版あるいはそれに極めて近い形で美本を出していた出版人(編集人、装幀者)の特集である。

いきなり吉岡実の昏睡季節』(一九四〇年)から始まっている。これが写真、レイアウトともに見事な誌面なのでうっとり眺めてしまう。次が小尾俊人、清水康雄、村上一郎ときて、ここで政田岑生が登場。これまでも政田については何度か書いたが、本はほとんど持ち合わせないので非常に興味深い。

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つぎが湯川書房。改めて図版で見渡すと湯川さんの本はなかなか艶っぽい。湯川さんの性格なのだろう。テクストは古くから湯川さんをご存知の戸田勝久さん。

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つづいて生田耕作・廣政かほる(後に生田かをるのサバト館。

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さらに関西勢が続いて渡辺一考さん。まさに本数寄の本造り。

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その次は関東勢が並んでいるので、ここではちょっと省かせてもらって京都大学学術出版会の八木俊樹の本もいい。八木氏と石川九楊とのコンビついては知識がなかったため目を吸い付けられた。そして平出隆。なるほどと唸る本ばかり。

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全体的に書影もいいし、レイアウトも凝り過ぎず、読みやすく仕上げられている。これからの本造りの参考にさせてもらおう。



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by sumus2013 | 2014-12-17 20:38 | おすすめ本棚 | Comments(2)

乳と卵

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しばらくブックオフに御無沙汰していたのだが、いくつか文庫本を求める必要があって、ここ十日ぐらいの間に近隣のブを巡回した(五条、太秦、久世橋、四条河原町)。文庫本と画集や図録の棚をまずチェックし、ついでに一〇五円均一の単行本をざっと眺める。たいていは眺めるだけ。その日はふと手がのびた。それがこちら川上未映子『乳と卵』(文藝春秋、二〇〇八年二月二五日、装丁=大久保明子、アートワーク=吉崎恵理)。

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ぴらりとめくるとサイン入り。画像検索すると、なにしろタレントなのだから、サインなんぞぜんぜん珍しくないようで、たくさんアップされている。ちょっとがっかりだが、それでも、ないよりはあった方がいいだろうと、この一冊を引き抜いたことを喜ぶ。

せっかく買ったので飛ばし読みした。う〜む。あられもないところが女西村賢太か。表題作とともに収録されている短篇「あなたたちの恋愛は瀕死」に新宿の紀伊国屋書店が登場しているので、そこを少し引用しておこう。

《それに比べて本屋というのは、どうしてこんなに人の気持ちをめいらせるものなのか女は理解できなかった。すべての階の、すべての棚を、どれだけ見つめて歩いてみても何ひとつ手に取るものがない。へんな匂いがするし、どこまでも平坦で、まるみはないし、人々はなぜだか無理矢理にこんなところに集まって、無理矢理に本を手にとっているように見える。ひとりとして楽しそうな顔をした人がいないし、みんな苦しいような顔をして一冊一冊を重たそうに検分している。蛍光灯の安っぽい光のしたでみんなが一律に、高速で年老いてゆくように見えて、女はぶるりと身を震わせた。》

巨大な新刊書店でこんな感じを受けるときがたしかにある。むろんそれは本屋の問題ではなく、そう感じる人間の問題なのだが。「へんな匂いがするし」のところ、先日の井伏鱒二と永井龍男の対談に出ていた「インキの匂いを嗅いだな、印刷のね」を思い出した。本てクサイものなのだ。

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by sumus2013 | 2014-12-16 20:33 | 古書日録 | Comments(0)

紙凧一つ

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先日の『井伏鱒二対談集』を読んでくださった方より縦長の印が捺された井伏鱒二の掛軸の写真が届いた。深謝です。まずは、何より文句がいい。

 わたしのこゝろの
 大空に舞ひ狂ふ
 はるかなる紙凧一つ

井伏には「紙凧」(一九二八)という詩があり、そちらはこうなっている。

 私の心の大空に舞ひあがる 
 はるかなる紙凧 一つ
 舞ひあがれ舞ひあがれ
 私の心の大空たかく舞ひあがれ

舞ひあがる」であって「舞ひ狂ふ」ではない。実は「紙凧」に先立つ「病臥温情」(一九二三)という作品の前半には次のような文句が見られる(ネット上で拾ったので正確ではないかもしれませんが)。

 私の心の大空にまひ狂ふはるかなる紙凧
 北風をうけ裏風にまひ落ちまひ落ちて
   ひるがへる
 糸のたわみは畔を越え
 そこにかしこに枯枝にふく。

大空を舞っている凧が墜落してゆく描写だが、後半では、

 薄墨色の夢で刻んだ糸枠に
 たぐる糸のたわみをゆさぶりつゝ
 目にたづねるはるかなる紙凧のむくろ
 -------あゝ、まひあがれ
 まひあがれ私の心の大空高くまひあがれ

と視界から消えたその凧に対して「舞ひあがれ」と強く念じる、まさに鼓舞するように。作者の心の底にはよほどの屈託があったと言えようか。これら二連のややくだくだしい描写をスッキリと止揚することによって「紙凧」の四行に落ち着いた。そしてさらに頂戴した写真の三行詩、これはもうひと山越えた感じがする。ほとんど俳句である。

箱書きがこちら。井伏圭介。

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検索してみると井伏鱒二の長男で金工家のようだ。昭和五年東京生まれ。ただし歿年が定まらないのが困る。二〇〇五年としているものあり、一九九六年(東京国立近代美術館工芸館のサイト!)とするものあり。国会図書館は二〇〇六年説。

井伏, 圭介, 1930-2006 || イブセ, ケイスケ,

井伏圭介の共著書『金工の伝統技法』(オーム社)には平成18年歿》とあるようだから二〇〇六年歿と考えておいていいのかもしれない。

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by sumus2013 | 2014-12-15 20:34 | 古書日録 | Comments(0)