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林哲夫の文画な日々2
by sumus2013


小児養育心得

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『小児養育心得改正』(石田勝信、明治十一年1878三月改正)。題簽は失せている。どうやら袋もあったらしい。序に

《弊家の脾肝薬玉圓ハ文化四卯年予の父鼎貫之を製し今の業を創[はじ]む而て小児養育金礎といふ書を著し其薬効と養生を人に告[しらせ]人々閲て是を可とし云々》

と石田勝信が書いているように父石田鼎貫の著書『小児養育金礎』を改訂したもので、丸薬を買うと無料でもらえるサービス冊子。子育て方のポイントや病気の対処法が書かれている。

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石田鼎貫翁、九十五歳肖像


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本家石田勝秀(京都五條橋東二丁目)。これが店舗名だろう。この名前で検索すると、「神壽散」のくすり看板がたくさんヒットする。しかし、注目したのは、なんと言っても、石田勝秀の左隣の一行。

〔印刷 烏丸三條上ル活版所點林堂〕

點林堂の印刷物だった! この頃は烏丸三条上ルにあったのか。點林堂については下記参照。

日政『衣裏宝珠鈔』

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挿絵は鼎貫肖像の他に二点挿入されている。その内の一点、子供の遊び。サインは「百僊」。三重県伊勢出身の画家・吉田百僊(一八五九〜?)だろうか。

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脾肝薬玉圓の売弘取次所


もうひとつ、オマケ。明治時代のしおり紐。

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本書にもともと付いていたとは考え難いが、このしおりは紙ではなく、細い糸を何本も平たく張り合わせてシオリ状にしている。水引に似ていなくもない(水引は和紙製ですが)。

by sumus2013 | 2018-02-18 20:23 | 関西の出版社 | Comments(0)
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