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知っておくと得になること全集『婦人ポケット經済讀本 知っておくと得になること全集 婦人倶楽部三月號附録』(大日本雄辯會講談社、昭和十年三月一日)を頂戴した。深謝です。272頁の厚冊で、食料品の見分け方、調理法、お勝手道具の上手な使い方、電気・水道・燃料、家具、家屋・建具、洋服・毛糸類、洗濯、シミヌキ、衣類の手入・保存法などなどから貯金の方法まで、家庭を預かる人間が知っておくべき知恵がギッシリ、という感じの小冊子(タテ9cmほどです)。 ふと目にとまったのが「美味しいバナナの見分け方」。《黒い細かい斑點》というのは「シュガースポット」と呼ばれてバナナが熟れ切った目印のようなもので食べごろを示すそうだ。《なるべく丸味のあるものが美味しい》これは角張ったものは若くてまだ熟していないという意味。だいたい今日言われているのと同じだが、色味については少し違う意見もあるようだ。 《黄色が鮮やかなものは美味しそうに見えますが、あまり美味しさには関係ありません。それよりも柔らかさと、色でいうと軸に近い部分の色をみましょう。軸の方がしっかり色ついてきていれば、食べ頃が近いバナナで、青臭みが少ないバナナです》 ひと昔前にはバナナが贅沢品だったという回想をよく聞いたものだが、この記事で判断するかぎり、昭和十年の時点ではそれほど特別な果物だったようには思えない。で、検索してみると納得である。バナナの商業輸入は明治三十六年が最初だそうで、大正十四年に台湾青果株式会社が設立されバナナのセリが始まった。昭和十年に築地が開場。昭和十二年には戦前におけるバナナ輸入のピークがくる。そういう流れがこの記事にも反映しているのである。 バナナの歴史 戦中に徐々に姿を消し、戦後になっても外貨不足からバナナ輸入も制限された。その時代しか知らない人たちがバナナ高級品説を唱えているわけである。昭和三十八年にバナナ輸入は自由化される。以後誰にでも親しまれる果物になったのである。 本冊子には、この他にもいろいろ戦前の暮らしをしのぶアイデアが満載。ちょっと首をひねるもののなくはないけれど、またいずれ機会があれば紹介してみましょう。
by sumus2013
| 2017-10-19 21:06
| 古書日録
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