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林哲夫の文画な日々2
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平凡社/全国書房

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遠藤勁氏より私家版を六冊頂戴した。以前にもいただいていたのだが、今回は新作および増補改訂版だという。まず『平凡社 あの人、この人』から。古河三樹松が取り上げられている。全文。

四谷駅マーケット(新四谷見附橋)脇「古河書店」店主。大逆事件で刑死した古河力作の実弟。平凡社創業者・下中彌三郎の書生から平凡社編集者へ、『名作挿画全集』(昭和一〇〜一一年)などを編纂。私の在籍中は、出入りの書店として図書室や各編集部の資料図書などを納めていた。"見世物研究"の一環か近郊ストリップ小屋の調査?は欠かさず、近況を聞くとその成果をこっそり伝授してくれた。1.4メートルに満たない小躯だったのでカブリツキは得意だったようだ?。愛嬌のあるオジイチャンという風情だった。著書に『庶民芸能ーー江戸の見世物』など。

古河力作のところでも問題にした小躯だが、《1.4メートルに満たない》はたしかに明治生れとしても小躯であろう。他にもいろいろ興味深い方々が在籍されていた。さすが非凡なる平凡社。

『少年の洛中記』も面白い。氏は一九三八年京城生れ。敗戦で引き揚げ、昭和二十一年に縁者をたよって一家五人で京都市へ移住。東京芸大へ入学するまで京都で青春時代をすごされたようだ。まず書店に関する思い出を引用しておきたい。小学生時代の「立ち読み一人巡り」。

まずは家から近い寺町二条の「若林書店」を出発点とする。寺町通を南下して、本能寺向いの同級生・佐々木クンの家「竹苞書楼」はスルーして(漢籍はチョット……)、三条通で東に曲り「そろばん屋」に入る。次は河原町六角あたりの「駸々堂」だ。その頃は四階建てくらいの古びたビルの一階で(そのずーっと後の京宝ビルとは当然違う)、床面積が広く奥では古書も扱っていた記憶がある。そこを出ると向い側に渡り「丸善」に入る。最後は河原町四条近くの西側の「オーム社書店」で終わる。この間、小さな新刊書店や古書店が何軒もあった。美術書専門の「京都書院」はあったかどうかの記憶はない。

全国書房の思い出もある。

御池通を西へ富小路角に散髪屋があり、児童の私はいつもそこへ通っていた。その二、三軒西(柳池中学の東)に、「全国書房」という出版社があった。父親が親しくしていて時々寄っては刊行物を求めていたようで、私も一、二度付いて行った記憶がある。
 普通の町屋を事務所にしていて、なにやら本がいっぱい土間に積んであった。まだ出版社と書店の区別もつかない年頃で、活字だらけの大人の本には興味がもてなかった。
 ある日('49年・小学五年頃)、父親が少々興奮気味に厚い辞書をかついで帰ってきた。全国書房から出た新刊で、『言林』という国語辞典だった。その後高校生まで私専用の字引となったが今は手許に無い。新村出が"新かなづかい"で編んだ戦後初のこの辞書は、発売すぐ全国的にベストセラーとなった。あの近所の地味な会社が作った立派な本に、子供ながら驚いた記憶がある。

今となっては貴重な全国書房の記憶=記録であろう。深謝です。



by sumus2013 | 2017-10-16 21:34 | 関西の出版社 | Comments(2)
Commented by 遠藤勁 at 2017-10-19 14:23 x
林哲夫さま 掲載ありがとう。貴メールアドレスを教えてください。
Commented by sumus2013 at 2017-10-19 15:05
こちらこそ有り難うございました。@lemonにメールさしあげました。
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