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林哲夫の文画な日々2
by sumus2013


WOLS

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『WOLS』(GALERIE EUROPE, 1959)。ギャルリ・ウーロップ(セーヌ通り22番地、パリ)で一九五九年十二月から一九六〇年二月まで開催されたヴォルス展の図録。

巻末の出品リストによれば、デッサン二点、ガッシュ四十五点、絵画(PEINTURES)が十二点出品されていた。これはおそらくこの時点ではヴォルス(1913-1951)の最も規模の大きな回顧展だっただろう。パリにおける過去の展覧会歴も掲載されており、一九三九年から五一年まで十七箇所で展示された作品のなかから集めたものだったことが分る。ヴォルスはベルリン生れだが、一九三二年にパリに来てパリで歿した。活動はほとんどパリで行い、実存主義のパリで認められて行ったことになる。

この図録だけだと買わなかったかもしれないが、中ほどに下のような二つ折りのパピヨンが挟んであった。タテ12cmというまさに掌サイズ。デッサンとヴォルスの詩?らしきものが印刷されている。

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ブラッサンス公園の古本市にて。画集やカタログなど美術系の雑書をたんまり並べていた店。主人の顔に見覚えがなかった。これだけ数があれば何かあるだろうと、じっくり掘り返したのだが、これ以外にはそそられるものを見つけられなかったので、また、この本にもたまたま値段が書かれていなかっため、買おうかどうしようか、かなり迷った。

中国人カップルの執拗なディスカウント攻撃に防戦一方だった初老の主人が一息ついたところを見計らって値段を尋ねてみた。中国人のこともあってか、最初から意外な値段で答えたので即決もらうことにした。エフェメラ付きだから高くはないだろうと思う。

一九七六年、パリの土地を初めて踏んだときだったが、工事中だったポンピドゥのすぐ南側(だったと思う)にあった小さな画廊でヴォルス写真展を見た。ヴォルスは写真も撮っていたのだ!という驚きがあった。今もって忘れられないくらいいい展示だった。彼の写真も素晴らしい。

by sumus2013 | 2017-10-05 20:52 | 巴里アンフェール | Comments(0)
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