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林哲夫の文画な日々2
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骨論之部

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骨から骨へ……というわけでもないが、本日は久米桂一郎『芸用解剖学 骨論之部』(画報社、一九〇三年二月二七日)を紹介する。表紙に箔押しで記されたタイトルは『芸用解剖学 骨論部』だが扉では『芸用解剖学 骨論部』となっている。また著者についても扉では《森林太郎/久米桂一郎/同選》とあるが、奥付に記された著者名は久米のみ。「同選」は詩文のアンソロジーにおいて撰者が二人以上いる場合に用いられるようだ。合選とも。森鴎外の日記に照らすと久米の原稿を鴎外が校閲するというような共同作業だったらしい。

美術解剖学の流れ 森鴎外・久米桂一郎から現代まで』(久米美術館、一九九八年)図録の解説(伊藤恵夫)によれば、本書は明治三十六年初版で、その後明治三十八年に改訂増補版、四十一年に第三版が発行されている。雑誌『美術評論』第五号から第二十三号にわたって十五回連載された内容(連載時の筆者は「无名氏」)に雑誌廃刊のため発表できなかった部分を増補して刊行された。また次巻では筋肉から姿勢、運動に関する記述へと進む予定だったが、完成は見なかった。

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久米が典拠としたのはポール・リッシェ(Paul Richer)の『Nouvelle Anatomie Artistique』(1912,1920,1921)三冊で、本書はその第一巻(骨格と筋肉)の部分訳(?)になるのであろう。久米は明治十九年にフランスへ留学。ラファエル・コランの門に入り西洋画を学ぶとともにモンパルナスの夜学校(L'École du Soir)でデッサンに励んだが、そこで解剖学に出会い積極的に勉強を始めた。明治二十六年帰国。二十九年、黒田清輝らと白馬会を結成。この年開設された東京美術学校西洋画科において美術解剖学と考古学の講義を受け持ち、大正十五年まで三十年間講じた。


中村不折『芸術解剖学』

パリ植物園 古生物学比較解剖学展示館


by sumus2013 | 2017-05-22 20:40 | 古書日録 | Comments(0)
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