林哲夫の文画な日々2
by sumus2013
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こゝろ

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漱石についてなんとか書き上げた。美術との関わりを少々。ちょうど呻吟しながら書いている最中に『學燈』春号(丸善出版、二〇一七年三月五日)「「學燈」創刊120周年記念 特集夏目漱石」を某氏が送ってくださった。ここに古田亮氏(東京藝術大学准教授)の「漱石の美術鑑賞」という一文が収められていて、おお、と思ったのだが、小生が書こうとしていたこととはほとんど重ならないのでひと安心。この文章はB・リヴィエアーの絵「ガダラの豚の奇跡」と「夢十夜」の第十夜の類似について(二〇一三年に「漱石の美術世界展」という展覧会があったのだ、知らなかった)。

もうひとつ祖父江慎氏の「不安定な文字、不安定な本ーー漱石の『こころ』と、書籍デザイン」というエッセイも面白く読んだ。氏は新装版の『こころ』(二〇一四)をデザインしたときの観察から漱石が自ら手がけたその装幀の謎に迫っている。

まずタイトルについて「こころ」「こゝろ」「心」など一定しておらず、その書体も楷書体や篆書体が使われており、化粧箱には《甲骨文のような金文のような謎の古代文字》が書かれていると指摘。その文字は函のヒラに書かれている手と縦棒(上の写真左)の文字を指す。これはふつうなら「父」とか「失」とか、または「寸」と読んでみたいところなのだが、タテ棒が手の右側にあるというのは手許の字書にも見当たらない(御教示を)。祖父江氏は

もしかするとペンを手放した手、つまり「遺書」という意味の漱石創作文字かもしれません。

と飛躍して考えておられるが、あながち無視できない指摘であろう。ただし、函のヒラに大書しているのだから、当然「心」のつもりだったと考えるのが自然である。この形に出典があるかないか、それだけが問題だろう。

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函(左)と本体の背


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口絵(漱石による)


また本体表紙の石鼓文のアレンジについても面白い説を開陳しておられる。

漱石の下絵をコンピュータで起こしてるときに、面白いことに気づきました。表紙を伏せて開いて見たときの右上、つまり表四の最初の目立つ場所に「馬」の文字があります。それから背の著者名の下の目立つところには雄鹿と雌鹿のふたつの「鹿」の文字が、書かれています。たまたまかもしれませんが、併せて「馬・鹿」です。「馬鹿」といえば、この作品のキーワードでもあります。

「向上心のないものは馬鹿だ」と友達のKから言われたことが悲劇(?)の発端になることを指す。これもまたあながち軽んじられない推論である。漱石ならやりかねない。

これらの他にも、どうして岩波書店から出版したのか? どうして自分で装幀したのか? という謎も残っている。

もしかするとこの作品を、言葉のように、なるがままに委ねてみたかったのかもしれませんね。漱石は、本になって流通するところまでの構造全体のデザインを行ったんだという気がします。

祖父江氏はこう解釈している。さて、どうなのだろうか。

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by sumus2013 | 2017-05-18 21:46 | 古書日録 | Comments(0)
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