林哲夫の文画な日々2
by sumus2013
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犬童進一ノオト

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内海宏隆『〈別冊〉木山捷平研究 犬童進一ノオト』(木山捷平文学研究会、二〇一七年四月一日)。昨年は菊地康雄という詩人・編集者を探索しておられて驚かされたものだが、今回はさらに無名の(文学事典類に立項のない)詩人・小説家・画家=犬童進一(いんどう・しんいち、一九二九年〜)に焦点を当て可能な限りの調査を行っておられる。

菊地康雄ノオト 日本の浪漫と美を索めて

犬童は菊地康雄とともに東西南北社の『ロマンス』という雑誌を編集していたらしい(一九五四〜五五)。そんな縁から内海氏は犬童に深入りして行く。ここでかいつまんで紹介したいのはやまやまなれど、とうてい簡単に要約できるような内容でもないので、ご興味のある方はぜひ直接お求めいただきたい。

前回、菊地康雄のときにも富士正晴の言葉を引用したが、この本でも富士の発言のインパクトが語られているので、そこを引いておこう。富士正晴が長年にわたってその著作刊行に情熱を燃やした詩人はもちろん竹内勝太郎だ。しかしその竹内について富士はこうもらしたという。

「いまになったら、いやになるわ」
意外と思える富士正晴の言葉を聞いたのであった。
「いまになってみたら、稚拙な、煮えきらん若書きばっかりやで、みてみい、箸にも棒にもかからんカスみたいなもんや。あいつより年とったら、ようわかるわい、ようあんな男について行ったもんや、あほらし。皆おなじとちゃうか、若いとき偉い思うちゅうことは」
覚めた顔で言った。
「そやけど、やっぱり竹内の遺稿集は出したらな、誰も出す奴はおらんからなあ、わしがせなしょうなかったかなあ」(島京子『竹林童子失せにけり』)

犬童もまた淵上毛銭という「ヘッポコ詩人」の人と作品を深く踏査研究したというが、富士の言葉は何より内海氏が犬童進一へ迫る強い後押しになったに違いない。わしがせな「誰も出す奴はおらんからなあ」……。

以前紹介した『その姿の消し方』で堀江敏幸が「アンドレ・L」という誰も知らない詩人(?)を探し求めた心情と通じるものがあるだろう。結局「文学」の魅力とは、ある意味において作品云々を超越したところに生じるのではないか、作品がいいとか面白いとか言っているうちはまだまだ文学のブくらいしか分っていない、そんな気がしないでもない。

堀江敏幸『その姿の消し方』

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by sumus2013 | 2017-04-29 20:46 | おすすめ本棚 | Comments(0)
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