林哲夫の文画な日々2
by sumus2013
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編集者の生きた空間

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高橋輝次『編集者の生きた空間ーー東京・神戸の文学史探検』(論創社、二〇一七年五月二五日)が届いた。高橋さんの衰えない探求欲には脱帽するほかない。その熱意がきっと版元を動かすのだろう。編集者や小出版社を軸としたひときわ渋い内容であるにもかかわらず、近年も着々と刊行を重ねておられる。昨今の出版状勢から見て、これは容易な仕業ではなかろう。

『誤植文学アンソロジー 校正者のいる風景』(論創社、二〇一五年)

『書斎の宇宙 文学者の愛した机と文具たち』(ちくま文庫、二〇一三年)

『ぼくの創元社覚え書』(龜鳴屋、二〇一三年)

『増補版 誤植読本』(ちくま文庫、二〇一三年)

『ぼくの古本探検記』(大散歩通信社、二〇一一年)

毎度ながら、本書も、芋づる式にざまざまな古書をたぐりよせる手際に驚きながら読み進める愉しみを味わえる。研究発表だとか論文だとか、そういった贅肉を削ぎ落した文体とはほど遠い、行き当たりばったりの、ボヤキ連続の、しかし気付いてみると何かガッチリと対象をつかんでしまっている、というような文章にあきれながら感心させられてしまうのだ。

メモ代わりにざっと目次から人名や固有名詞を拾っておく。

第一部 編集部の豊饒なる空間
砂子屋書房/第三次「三田文学」:山川方夫/河出書房:氏野博光/河出書房:小石原昭と瀬沼茂樹

第二部 編集者の喜怒哀楽
彌生書房:津曲篤子/偕成社:相原法則/創元社:東秀三/著者の怒りにふれる編集者の困惑/中央公論社:和田恒と杉本秀太郎/中央公論社:宮脇俊三

第三部 神戸文芸史探索
エディション・カイエ:阪本周三/「航海表」:藤本義一、竹中郁、海尻巌/「少年」:林喜芳、青山順三、佃留雄/犬飼武、木村栄次、中村為治/中村為治、照山顕人/大橋毅彦「一九二〇年代の関西学院文学的環境の眺望」/林五和夫、妹尾河童、青木重雄、及川英雄

第四部 知られざる古本との出逢い
橋本実俊『街頭の春』/鴨居羊子、田能千世子、港野喜代子/小寺正三、加藤とみ子/布施徳馬『書物のある片隅』

なかではエディション・カイエの阪本周三を求めて旅をする(もちろん本をめぐる旅)話は読み応え充分。小生のよく知っている人や雑誌が何人も登場していて、そういう意味では、自分自身が生きてきた時間がすでに歴史になりつつあるのだなあと感じさせられてしまう(年を食ったということです)。小生自身は阪本周三さんを存じ上げないしエディション・カイエの本もほとんど持っていないが、かつてかろうじて二度ほどブログに取り上げている。

『ペルレス』第一号(エディション・カイエ、一九八七年一〇月一日)

黒瀬勝巳遺稿詩集『白の記憶』(エディション・カイエ、一九八六年)

高橋氏の描写から少し引用する。

一九九八年、氏[阪本周三]は三度目の上京をし、阿佐ケ谷でバー〈ワイルド・サイド〉を開店。店名はルー・リードの曲から取られたという。その店は、佐藤一成氏が阪本氏の詩から借りた一節によれば、氏が名づけた「東京ブルックリン(阿佐ケ谷)」の駅近く、「木造モルタル二階建て十三階段をのぼったつきあたり」にあった。

大西隆志氏が二〇〇〇年十一月に上京して最後に店を訪ねたとき、阪本氏は詩集を出そうと思っている、と語ったという。それ以前にも、詩の同人誌をまた出そうと二人でよく話していたそうだ。とすれば、二冊目に構想中の詩集が未刊に終ったわけで、残念でならない。
 二〇〇一年一月二十日、阿佐谷のアパートで脳内出血で死去する。四十八歳、あまりにも早い突然の死であった。
 大西氏は阪本氏の風貌について、アンジェイ・ワイダ監督の「灰とダイヤモンド」に出てくるマチェックのように「優しさと激しさを内に秘めていたからか、阪本クンはサングラスが似合っていた。見た目とは違った表情をサングラスと微笑で隠していたのかもしれない。

あるいは、例によって長文の註記にはこうもある。

阪本周三氏についてまとめた原稿のことを一寸もらしたところ、思いがけなく伊原氏も昔、阪本氏とつきあいがあり、尊敬していた編集者だったと懐かしい口調で聞かされ、驚いた。神戸時代、阪本氏は京都の同朋舎の仕事も請負っていて、忙しいとき、伊原氏も手伝っていたという。東京のバーにも訪れたことがあるそうだ。電話なのでそれ以上の詳しい話は伺えず残念だったが、編集者同士のつながりの妙をここでも感じたものである。

伊原氏はもちろん小生の作品集(画文集)を出してくれた編集者。また同朋舎は一時期しゃにむに出版を行っていた時期がある。小生でさえも、いつだったか、東京からやって来たある編集者に連れられて編集会議のようなものに加えられたことがあった。ただその企画は通らなかったのか、どうだったのか、小生が参加したのは一度きりだった。まさに同じ時間と空間を生きていた感を強くする。


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by sumus2013 | 2017-04-25 20:47 | おすすめ本棚 | Comments(0)
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