林哲夫の文画な日々2
by sumus2013
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島尾敏雄生誕100年

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『脈』92号(脈発行所、二〇一七年二月二五日)、特集・島尾敏雄生誕100年/ミホ没後10年。巻頭を飾る島尾伸三「おかあさんの謎」はちょっと凄い。

《1 むかつく
 数年前あたりから島尾ミホ伝を完成させたいという梯久美子[かけはしくみこ]さんが、月刊誌へ連載を始めたものだから、おかあさんのことを毎月根掘り葉掘り聞かれたので、梯さんがいくら礼儀正しく接してくれても、嫌な事を次から次へと思い出さなければならなくなったので、ぼくの不機嫌は益々悪化して気持ちを重いものにしていました。
 その連載が終わって2016年11月に『狂う人』(新潮社)という単行本に収まったので、ほっとしていたのに、おとうさんとおかあさんについて原稿を10枚から20枚も書けという「脈」の発行人は残酷です。おとうさんが死んだ直後にも「脈」には原稿や似顔絵を要求され、気持ちに反して字を書いたり絵を描いたりしなければならなかった息苦しかった時のことさえ思い出しました。しかも原稿料はありません。いったい、文芸の世界に興味の無いぼくに何を望んでいるのでしょうか。ぼくの存在が奇妙な経験をした見せ物に過ぎない事は百も承知で、さらし者にされるのもおとうさんとおかあさんの為だと思ってはいますが、どうしてぼくは嫌々ながらも字を書くのでしょうか。これが鬱憤ばらしになるのでしょうか。
 あんなにぼくや妹に失礼極まりないことをやっておきながら、おとうさんとおかあさんは死んでからも、生前そうであったようにぼくのお金や精神や肉体を奴隷のようにこき使います。いいえ、そんなことが負担になっている訳ではありません。彼らはまだ死んでいないかのように不気味です。》

……う〜ん。

中尾務さんも執筆しておられる。「島尾敏雄、再会した富士正晴に「小説ノタネニハ苦労シマセンワ」」。一九六五年、十三年ぶりに島尾敏雄は富士正晴に会った。富士はジャーナリズムで活躍するようになった島尾らに対して批判的であった。

《そう、この日の日記にでる小川国夫、島尾敏雄にあとひとり、埴谷雄高を加えた三人の作品が、富士正晴のいうところの「年とるほどにあかんようになる〈男前の文学〉」。富士は、山田稔に宛てたハガキでも〈埴谷とか島尾とか小川とかは余り有名になると魅力うすれます。所詮男前の文学なり〉(一九七四年六月二一日付)と三人を切りすてている(『富士さんとわたしーー手紙を読む』)。》

〈男前の文学〉とは言い得て妙なり。島尾に会った日の富士日記にこう書いてあるそうだ。

《細君は120%元気ノ由、上ノ子ハ高校一年デ島尾ヨリ高ク、次ノ子ハ中学生ダガ、3ツノコロカラモノガイエナクナツタ由、「小説ノタネニハ苦労シマセンワ」トイツタ》

細君がミホ、高校生が伸三、次ノ子は長女マヤである。伸三氏はまたこのようにも書いている。

《妹マヤが骸骨のように痩せ細って死んだのは、おかあさん、あなたの無神経な仕打ちのせいであったこと、よくご存知のはずです。ですから、おとうさんの死体も、マヤの死体も、ひと目につかぬように蓋をし隠し通して火葬場へ運んだのではないですか。ぼくは、おかあさんの家族の尊厳を無視した日々にとても怒っています。》

《その礼儀知らずは文学に夢中の人たちにも共通で、いくら彼らが周囲の人に対する尊大な思考や態度であっても、周囲をかき回すばあかりで、収拾のつかないまま放置する様は、戦争を始めた張本人でありながらうやむやに逃げきろうとする政治家や官僚の輩と精神構造は似たり寄ったりに見えるのです。
 哲学も文学も科学も、毎日を穏やかに生きるものには迷惑なのです。彼らは言葉を支える嘘に鈍感で、思い込みを表現としているらしいのです。あーむかつく。》

文学なんてロクなもんじゃない。美術だって同じこと。極道ですよ。

島尾敏雄と写真 『Myaku』15号

『脈』は三月書房の通販で購入できます。

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by sumus2013 | 2017-02-27 20:27 | おすすめ本棚 | Comments(0)
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