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花森安治の仕事図録『花森安治の仕事 デザインする手、編集長の眼』(読売新聞社美術館連絡協議会、二〇一七年、表紙デザイン=重実生哉)を某氏が送ってくれた。これは助かる。みつづみ書房での26日のトークに参考になる写真や図版がたくさん出ている。花森の生涯にわたって目配りの利いた編集ぶりに感心した。欲を言えばキリはないにしても花森の全体像をとらえるということではよくまとまっている。もちろん装幀については『花森安治装釘集成』がいいに決まっているが『スタイルブック』など戦後すぐに衣裳研究所から出た雑誌を集めてあるのは手柄だと思う。 なかでもっとも注目した資料はこちら。佐野繁次郎から花森安治に宛た葉書二枚。二枚が同日(昭和十四年十月二日の消印)に発送されており、文面がつづいている。 1. 先達はお手紙ありがと う。 どうも、あんな立派な手紙 をもらうと、返事が急に かけないです。 感服もしましたが、君は 幸だと思ひました。 十二月頃には帰れますか まだ〜〜ですか。 僕は、この間風邪をひいて 少しねましたが、ずっと元 気です。 これは二科の今年 のです。フランスで 描いたの四枚出したんです。 2 おなぐさみ迄に送り ます。 店はみんな相変わらずです。 だん〜〜忙しくなって、しま ひました。 成績は上々です。体がよ くなって、帰られたら、北村 君からも、きゝましたが、営 業部ででも、すきな方で、 充分又、銃後のお働き をして下さい。 軽はずみしないで、充分 お体、お気をつけ下さい。 奥様へもお序の 節よろしく。 赤ちゃんも大きくなられた事と 思ってます。 葉書は二科展への出品作を絵葉書にしたもの二種。こういう葉書は入選者が自費で注文して作ってもらうようだ。宛先は《和か山市小松原通四/和か山陸軍病院/赤十字病院/第二病舎》。この年の四月に花森は結核のため満州(中国東北部)から病院船で帰国した。和歌山で療養していたとき佐野に《立派な》手紙を書いたということで、その返事である。伊藤胡蝶園への復職について尋ねたのでもあろうか。何時でもオーケーという返事だが、営業部というのがちょっと気にはなる。 それにしても、文章の調子が親しい友人(年齢は佐野が十一歳上)に対するもので先輩ぶった様子はまったく見えない。花森は佐野に師事したというような言われ方をするけれど(小生もそのように書いたこともあったかもしれないけれども)この調子は若くて仕事のデキる同僚として一目置いていた様子ではないか。佐野研究にとっても重要な葉書である。 ということで、トークの準備中。昨年末にギャラリー島田で行ったものとは少し構成を変えるので、あれこれ図版を入れ替えたり、説明文を付け加えたりしている。お近くの方はぜひおいで下さい。 2017年2月26日(日曜日) 14時〜16時 古書 みつづみ書房 古書 みつづみ書房Facebook
by sumus2013
| 2017-02-22 21:15
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