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ふくしま人 門田ゆたか菅野俊之氏が『福島民報』に掲載された「ふくしま人 門田ゆたか」(二〇一七年一月一四日〜二月一一日、五回)を送ってくださった。深謝です。関屋敏子の巻も面白かったが、門田ゆたかがいかに身近な詩人だったかを思い出させてくれた。 門田は明治四十年(一九〇七)一月六日信夫郡福島町(現福島市)生まれ。本名は門田穣(かどた・ゆたか)、作詞家としては門田ゆたか、佐々詩生、柏木みのる等のペンネームを使った。名古屋の中学校で西條八十『砂金』に出会って詩人を目指す。早稲田大学仏文科へ入学して西條八十に師事。しかし家庭の事情により卒業間際で退学し西條八十主宰の雑誌『蝋人形』の編集を手伝いながら作詞家としての仕事を始めたのだという。 昭和十一年「東京ラプソディ」(花咲き花散る宵も銀座の柳の下で…、作曲=古賀政男)でブレイク。これは小生くらいの年代でも頻繁にナツメロとして聞いたものである。二・二六事件と同じ年とは思えないのーてんきな曲調・歌詞なのに驚きを禁じ得ない。まさにラプソディ(狂詩曲)というにふさわしい。他にはデイック・ミネ「林檎の樹の下で」(林檎の樹の下で明日また会いましょう…)、松島トモ子「三匹の子豚」(狼なんかこわくない…)なども耳に馴染みのある曲・詞だ。 戦後も一時期、門田は一九四六年に復刊した『蝋人形』の編集を手伝い、昭和二十五年には自ら主宰する詩誌『プレイアド』を創刊している。『旅愁』など五冊の詩集がある。日本詩人クラブなどで要職を占め、作詞家の著作権保護にも力を尽くした。昭和五十年六月二五日急逝。享年六十八。詳しくは菅野氏の記事にてどうぞ。 上の『砂金』はずっと前に入手したもの。ブログでも一度取り上げた。みやこめっせの即売会だった。表面を毛羽立てた革(ベルベットのような手触り)の表紙。本来は深緑らしい。これはかなり退色してしまっている。装幀は野口柾夫。野口については検索してみてもよく分らないが、著書(述)に『化粧品の常識 販売家必携』(平尾賛平商店出版部、一九二九年)があり、平尾賛平商店のロゴマークをデザインしていること、『現代商業美術全集』第七巻に野口柾夫作「突出し造型看板」の図が出ていること、また「鬼怒川音頭」「ヘッチョイ節(オール箱根ソング)」「新曲伊勢音頭」などの作詞も手がけたことなどが断片的に分る。なかなかの才人だったようだ(同一人物とは限らないか…)。 『奥州二本松』歴史春秋社 菅野俊之他執筆
by sumus2013
| 2017-02-20 19:36
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