林哲夫の文画な日々2
by sumus2013
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向日庵消息・現物

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およそ二年前にこれらのコピーを紹介したのだが、今回は現物を某氏より頂戴した。やはりこの手漉きの紙の質感にはしびれる。

上がすでに紹介した「第二信」。そして次が「第九信」。

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前回は他に第四信も紹介した。今回はそれ以外に「向日庵私版刊行書目録」二種類を加える。

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一枚は昭和十一年三月現在。裏面は『書物』の広告。『書物』にはコブデン・サンダスン『完全な書物』とエリック・ギル『書物』と寿岳文章『装本について』が収められているようだが、その文章より抜粋してみる。

《身近くにあるものほど疎かにされやすい。書物は人間の生活になくてならぬものでありながら、實利をのみめざして作られるためか、作る者からも讀む者からもひどく粗末にされ、従つてひどく醜いものになつてしまつた。》

《書物とはかくあるべきものだとの批評の標準が、著者や出版者や讀者に今少し本格的に理解され自覺されたならば、恰もモリスの事業が今世紀に入つて欧米各國の書物を高め美しくしたやうに、わが國の出版物も工藝的に多少の向上を示すのではなからうか。》

《昨年私は思ひきつて英國の古書肆からコブデン・サンダスンの書物論を購入した。殘るは美しい活字創案鋳造する問題であるが、これは尚數年の労苦を待ち多大の資金を得ずば實現されないであらう。しかも時は猶豫なく過ぎる。私は遂に意を決し、現在あるがままの活字をできるだけ美しく活かすことをせめてもの慰めとし、他は私の理解と愛の及ぶ限り最良の材料を最も質素に用ひて上記の書物を造つた。》

『書物』は二百部印行。本文紙は岩手産の手漉雁皮紙、一番から五十番までが犢皮装本で十二円。五十一番から二百番までが丹念紙装本で五円の頒価である。《著者や出版者や讀者に今少し本格的に理解され》たらと歎くわりにはこれではほとんど誰の目にも触れない単なる趣味本ではなかろうか。

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もう一枚は昭和十一年十二月現在。三月の目録で近刊『絵本ドンキホオテ』と記載されていたのが『絵本どんきほうて』となって刊行を見た。説明文によれば寿岳と親しいボストンの実業家カール・ケラーは「ドン・キホウテ」の蒐集家で、その《お爺さん》を喜ばせるために芹沢銈介によるオリジナルの挿絵を入れた『絵本ドンキホオテ』を製作したという。

《私は早速見本刷をケラーに送つた。さすがのお爺さんもこれには驚嘆し、東洋美術に明るいフォッグ美術館のウォーナア博士に見せたところ、ウォーナアも悉く感心してすばらしい傑作と折紙をつけたので、早く實物をよこせと矢の催促である。書物道から見て古來「ドン・キホウテ」の刊本や挿絵には秀れたものも尠くはないが、この、微塵も洋臭を留めずに和國の武者となりすましたドン・キホウテの繪本こそは、世界のあらゆる「ドン・キホウテ」刊本中の逸物となるであらう。折角の企てゆゑ、原版をフォッグ美術館へ納める前に、ケラーの領會を得て五十部を限り開版し、同好の士に頒つことにした。内外の所望既に多く、豫定の部數はもはや幾らも殘されてゐない。御希望の方は至急申し込んでいただきたい。》

送料共三十円……。今となっては安い買物ではあるが……。


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by sumus2013 | 2017-01-23 20:55 | 古書日録 | Comments(2)
Commented by 牛津 at 2017-01-23 21:57 x
これはすごい!壽岳先生は湯川書房の顧問をされていましたが、
何も注文を付けなかったそうです。ただ、向日庵のロゴを使用
したときだけ、「これはいけません」ととがめられたそうです。
Commented by sumus2013 at 2017-01-24 08:21
顧問でしたか。湯川さんと向日庵の話をした記憶がありません、残念です。
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