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粟津則雄コレクション『粟津則雄コレクション目録』(練馬区立美術館、二〇一六年一一月一七日、デザイン=竹田麻衣子)を頂戴した。御礼申上げます。二〇一四年、練馬区立美術館に寄贈された粟津コレクションの目録である。粟津則雄の本はかつては何冊か持っていたが、そう、粟津訳『ランボオ全作品集』(駒井哲郎装幀の)も含めて処分してしまい、たぶん一冊もないはずだ。本書のコレクションはフランス文学者らしく渋みもあり、少々緩いところもあって全体としてその人となりが分るような気がする。ルドンやルオーもいいが、やはり駒井哲郎が数も多く質的にも高いレベルの作品ばかりなのが目立っている。 最近は誰々のコレクション展と銘打って開催される展覧会が増えているような気がする。洲之内徹コレクション展は生前から何度も行われており割合と早い例だろうが、現代美術を集めているマイナー・コレクターの展覧会というのを二十世紀末頃からよく目にするようになり、さらに「瀧口修造夢の漂流物」展(二〇〇五)や大岡信コレクション「詩人の眼」(二〇〇六)あたりから徐々に盛んになって、外国人の日本美術コレクションが次々将来され(プライス、ギッター、バーク、ドラッカーら)、「坂田和實の40年」(二〇一二)、筑波大石井コレクション展(二〇一三)、河野保雄コレクション展(二〇一四)、「根津青山の至宝」(二〇一五)、「川端康成コレクション伝統とモダニズム」(二〇一六)、「村上隆のスーパーフラット・コレクション」(二〇一六)、住友コレクション展(二〇一六)、秋山庄太郎コレクション(二〇一六)など枚挙に暇がないくらい。あ、もちろん石原コレクション「展覧会ポスターに見るマン・レイ展」も忘れてはいけない。 美術品の蒐集というのはやはり個人の眼に頼る傾向がある。絶対音感のように絶対美感というものがあるようで、訓練だけではどうしても達成されない感覚のような気がしないでもない。おそらくそれは大昔から変わらないだろう。ただ、今はそのコレクションから個人の眼力をあぶり出すという意味で個人にもスポットが当っているのかもしれない。美術館としては一括で企画できるので楽チンなのかな? 岡崎市美術博物館で開催されている長谷川潾次郎展も藤井コレクションと肩書きがある。 《この伝説的画家に魅了された1人、故藤井純一氏は岡崎市で長年にわたり作品の蒐集を続けてきました。藤井氏コレクションは約130点の油彩画の他に版画やデッサン類、画材道具、モチーフからなり、現在は岡崎市美術博物館の所蔵となっています。》 これはちょっと見てみたいものだ。
by sumus2013
| 2016-12-30 21:51
| 雲遅空想美術館
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Comments(2)
本年も愉しく《daily-sumus2》を拝読してきました。しかし、なんといっても唐澤平吉・南陀楼綾繁・林哲夫編《花森安治装釘集成》刊行の年として記憶されます。本日更新の《吉岡実の詩の世界》の〈編集後記 170〉にご紹介を兼ねて短評を載せましたので、ご案内いたします。先日は練馬区立美術館で《粟津則雄コレクション展》を観ました(自宅から歩いて行ける距離なのです)。また、後記に書きましたように、《吉岡実の詩の世界》のドメインが変わりました。明年もなにとぞよろしくお願いいたします。
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sumus2013 at 2016-12-31 20:25
拝読しました。ご紹介ありがとうございます。キャプションは小さすぎましたか……たしかに。粟津則雄展もですが、実はサイモン&ガーファンクルを急に聞きたくなって先日初めてCDを買いました(1969のライヴ)。この年末はずっと聴いているので、ちょっと驚きました。来る年もどうぞよろしくお願いいたします。
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