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林哲夫の文画な日々2
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ランプ

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『書窓』第十一巻第三号;通巻六十五号(アオイ書房、昭和十六年四月十一日)。A4判ふたつ折り四頁。申し込み葉書と郵便払込票が挟み込まれている。川上澄生『ランプ』が完成したということで川西英によるオマージュと柳宗悦、武井武雄、吉田正太郎の感想、そして発行人・志茂太郎の解説が収められている。

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川上澄生『ランプ』は目下こちらのサイトで見ることができる。
http://www.yamada-shoten.com/onlinestore/detail.php?item_id=30192

志茂によれば「ランプ」をテーマに一冊作るというのは志茂の発案だった。ところがあまりにはまり過ぎたテーマだったせいで川上澄生は新味を出そうと苦心に苦心を重ねた。その結果四年以上の年月が費やされたということである。

《川上さんの宇都宮住ひは二十幾年にもならうか。宇都宮は僕には馴染のない土地だつたがランプがはじまつてからといふものゝ足かけ五年通ひに通つたので、ランプのために、すつかり親しい土地になつてしまつた。どの本の時でも同じであるが、出来上つてから振り返つて考へて見ると、よくもかうまで根気よくやれたものだと、吾ながらいつもつくづぐ[ママ]感心する。振返つて苦労を思出したてゐたら、又これを繰返すのかと、やらぬ先から気おくれがして、新しい仕事に出足がにぶる。本造りは、いつも前進前進で、後を振向く事は大禁物と心得てゐる。》

まさにその通り……。そして川西英はランプについてこのように書いている。

《ランプ、洋燈屋、ランプをともした部屋、ガス燈、ガス燈屋ーー総てランプの光に浮上つた美しい華やかな夢の世界で、私もガス燈屋の真似事をして遊んだ事や、ホヤの掃除に困つた事や、豆ランプを庭の石燈籠に入れたりした夕や、また蠟燭立のランプは今なほ停電時の実用として便利に使用してゐる事など、想ひ起して川上さんの魔術にかゝつてしまひました。》

川西は明治二十七年生まれなので花森安治の親の世代に近いかもしれないが、しかしこの文章を読むと、花森のランプ好きの理由が分るような気がしないでもない。また花森は川上澄生の版画が好きだったろうということも雑誌『文明』の表紙などから想像できる。とくにランプは花森にとって「暮し」を象徴する代表的なそして魅惑的な品物であったに違いない。

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by sumus2013 | 2016-12-15 19:47 | 古書日録 | Comments(0)
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