林哲夫の文画な日々2
by sumus2013
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花森装釘?

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文明社の湯浅克衛『焔の記録』。FBで某氏がアップしていた花森安治の原画である。所蔵しておられるとのこと。お許しをいただいてこちらにも掲載させてもらった。『花森装釘集成』にはこの文明社の文芸叢書が五冊掲載されている。その他にこんな本もあったのか! と驚いたのだが、検索してみると高橋輝次さんが「古書往来」に次のように書いておられるのを見つけた。文中《この号》とあるのは雑誌『文明』昭和二十二年四月号。

ところが、である。この号の15頁を見ると、「小社出版物に就て」という囲み記事が載っており、最初に「既に御承知の如く用紙事情逼迫のため出版界は危機におちいつております」と書き出されている。続けて、小社は幸いにも前述の著者の本五冊を昨年中に上梓できたが、「尚既に読者諸氏に御約束申し上げました数冊が製版出来のまゝ印刷することが出来ませぬ状態でございます。校了になつてをりますものに野口冨士男氏「うきくさ」湯浅克衛氏「焔の記録」荒木巍氏「」宮内寒彌氏「四國巡禮」の四冊がございますが、用紙事情の打開と共に順次上梓の運びと致したいと存じます。」と告げている。
 『文明』は書誌によると、翌昭和23年3月に廃刊となっており、おそらく同じ頃、文明社も倒産してしまったと思われる。これらの校了にまでなり、タイトルも決っていた小説集は皆、日の目を見られなかったことになり、著者たちもさぞ無念の想いを抱いたことだろう。

62.新刊『古書往来』で書き残した事ども -文明社の未刊本など-


同じく某氏の所蔵する「夏」の扉絵原画。どちらも用意が整っていながら出版されないままに終わった……文明社に限らず幾多の作品が同じ運命をたどったに違いないとは思うのだが、なんとも惜しいことである。

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***


もうひとつ。牛津先生から質問が届いた。正宗白鳥『我が生涯と文学』(新生社、一九四六年二月一日)は花森安治の装釘ではないでしょうか? 長年にわたって疑問に思っておられるという。薄冊中綴じながら味のある装幀だ。版下は木版のようにも見える。

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装釘集成には新生社の単行本として舟橋聖一『闇から夜明けまで』(昭和二十一年五月)、中野重治『日本文学の諸問題』(昭和二十一年五月)そして雑誌『女性』創刊号と雑誌『新生』二巻四号(どちらも昭和二十一年四月)が掲載されている。花森と新生社の関わりがいつ頃始まったのか興味あるところだが、二月刊行ということはその少し前に仕事を受けていたということにはなる。

パッと見た印象としては花森らしくはない。ただ「新生社」という白抜きの文字が花森かもしれないと感じさせるということはある。上記の新生社本などの文字と比較してみると、一点、大きな違いがあった。本書以外はすべて「社」を花森は「示+土」で書いているのだ。また「學」も「学」(『日本文学の諸問題』)としている(ただしこれは『肉體の文學』という例もあり即断できないが)。結論として、何か確かな証言が出て来ないかぎり花森装釘と見るのは難しいと思う。牛津様、以上が小生の考えです。


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by sumus2013 | 2016-12-02 18:16 | 古書日録 | Comments(4)
Commented by 唐澤平吉 at 2016-12-02 21:11 x
原画2点、いかにも花森らしい絵柄ですね。
本になって公開されると、このような重要な情報が、次々と出てきて、あらためて本にして良かったとおもいます。じつは小生もネットから新しい知識を得、さっそく2冊発注しました。
装釘集成に収載できなかったことは残念ですが、新たな存在がわかったのは、やはり刊行したからこその成果です。
正宗白鳥の本は、小生も疑いましたが、仰せの通り花森にしては表情に乏しく、除外しました。
Commented by sumus2013 at 2016-12-03 08:06
この原画が古書店に出たと知ったのが集成の最終段階だったのは残念です。もう少し早ければ参考図版として掲載できたかもしれません。近い将来、索引と追加資料だけの一冊を作ってもいいかも知れません。
Commented by 牛津 at 2016-12-03 21:59 x
編著者のお二人様、ご見解をありがとうございました。長年の疑念が晴れました。字の
分析、表情の乏しさ、なるほどと膝を打ちました。のどに刺さった小骨が取れた爽快さ
です。改めてお礼を申し上げます。白鳥のこの小論は一読の価値があります。
Commented by sumus2013 at 2016-12-04 07:59
いい本ですよね。好きです、この装幀も。
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