林哲夫の文画な日々2
by sumus2013
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わたしの小さな古本屋

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田中美穂『わたしの小さな古本屋』(ちくま文庫、二〇一六年九月一〇日、装画=平岡瞳)読了。単行本が出てからもう四年半にもなるとは……。

田中美穂『わたしの小さな古本屋 倉敷「蟲文庫」に流れるやさしい時間』

上の投稿で蟲さんはまだ独身と書いてあるが、今は既婚者(向井くんはまだだと思うけど)。本書には単行本に収められていないエッセイも八篇追加。そして早川義夫氏の「解説」がまたいい。

再読してみてあらためて上手い書き手だなあと感心した。ご本人も書いておられるが、自然科学の本ばかり読んで青春時代を過ごし、その上に広い文学的な経験を重ねたようだ。そのことが正確で読みやすく、それでいて深みもある文体を生んだのだろうか。今回、印象に残った作品は「聖書の赤いおじさん」。最初に開いた店でのできごと。まだ郵便局でアルバイトもしていた。アルバイトの日は早めに店仕舞をする。そこへ常連の職方風の小柄なおじさんがやってくる。

《仕事あがりに駅前の立ち呑み屋でいっぱいひっかけての帰り道ということらしく、いつも赤ら顔。
「わりぃな、酒くさくてよ」などと言いながらも、買っていかれる本は、たいてい『それでも聖母は信じた』というような、キリスト教系のさまざまな教団から出されている、少々マニアックで硬めの本。
 『聖書』は何種類も揃えているようで、「こりゃあウチにねえ(無い)な」という、ぼそっとしたつぶやきが聞こえてくるときもありました。
『本やこう(なんか)買うてけえったら(帰ったら)、酒呑んでしょんべんになったほうが、なんぼかマシじゃ言うて、嬶[かかあ]にケチつけられるんじゃけどな」と笑いながら、それでも来るたびに、一冊、二冊と作業着のポケットにねじ込んである、くしゃくしゃのお札を出して買っていってくれました。

おじさんも凄いが、聖書やキリスト教関係の本がそんなに在庫しているという蟲文庫もすごい。ところがある日、郵便局での仕事開始まであと四十分というときに、赤いおじさんが入って来た。通勤に二十分はかかる。いつもゆっくり本を見るおじさん……時間は迫る。さて、どうなるでしょう。本書でお楽しみください。

「祖父母」も好きだ。店の表で写真を撮っていると見慣れない犬が二匹連れ立って歩いて来た。

《前を歩くのが、中型の雑種然とした犬で、その後ろにぴったりとついているのが、小型でグレーの巻き毛の洋犬。その組み合わせだけでもなんだか面白いので、これはシャッターチャンスとばかりパチリとやっていたら、なんと、そのまますんなりと店のなかに入って行ってしまいました。
 どちらも首輪をしていて、人にも慣れているふうですが、しかしリードも飼い主も見当たりません。実は少し犬が苦手ということもあり、いったいどうしたものかと遠巻きにおろおろしている私を気に留めるふうもなく、店の床にねそべり、ごろごろとくつろいだりじゃれあったりして、そして小一時間くらいがたってから、また二匹連れ立って、ふいと去ってゆきました。
 そんな話を友人にすると、
「それ、誰か知り合いよ、きっと。おじいちゃんとおばあちゃんあたりじゃないの?」と言うのです。》

二匹の犬はそれ以来二度と姿を見せなかったそうである。




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by sumus2013 | 2016-09-11 18:52 | おすすめ本棚 | Comments(0)
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