林哲夫の文画な日々2
by sumus2013
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蠹魚之自伝

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内田魯庵『蠹魚之自傳』(春秋社、一九二九年一〇月一〇日)を借覧中。この函は旧蔵者による手製だろう。ほんとうの函がどんな図案なのか画像検索してもヒットしなかったが[と書いたところMさんが画像を提供してくださった。深謝です]、装幀は子息の内田巌。巌についてはこれまでも何度か触れて来た(下記にまとめてある)。

早稲田をめぐる画家たちの物語


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《表紙の画は父の唯一の遺愛品である秘魯鳴壺を図案化したもの見返しの蠹魚喰はれた古本の写真も父の生前左右にあつたものを其儘用ひました。》(巌記)

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何回かに分けて本書から気になったところを引用してみる。まずは表題作「蠹魚の自伝」(しみのじでん)より。このエッセイは蠹魚の立場から人間と書物の関係を痛烈に批判した内容である。おそらく「吾輩は猫である」(「猫伝」というタイトルになるはずだった)に倣ったものと思われる。ベランメエの口調が心地いい。江戸歌舞伎の助六を連想させもする。

《だが、夫れは夫れとして俺達の蝕つたあとを見て呉んナ。芸術的ぢやねエか、丸でレースのやうだ。故とらしい技巧の無エ自然の紋様はステキぢやねエか。所有者が権利を抛棄した廃紙が俺達のお庇で芸術化される。此の芸術味が解らねエで俺達を破壊者扱[あつけ]エする奴の野暮さ加減は話にならねエ。松浦の殿様静山侯は有繋に眼が明いてる。虫の蝕つたあとが面白エツてので帯地に織らしたて話が『甲子夜話』に見える。大[てい]したもんだ。芸術の理解がありや俺達[おれつち]の蝕つた跡の芸術味を見逃す筈は無エ。勧学院の雀は蒙求を囀るで、恁う見えて俺達は親代々[おやでいでい]芸術書も相当に噛つてる。生れながらの芸術家だ。あんまり安く扱つて貰ふめエぜ。》

本書を通して焼けた書物について文章がかなりの分量を占める。関東大震災後間もなくに書かれた随筆や論考を集めているのだから当然かもしれない。丸善の出火などは別に引用するとして「蠹魚の自伝」でも神保町の焼尽についての言及があり、シミ君はこのようにスッパリと斬り捨てる。「家の大将」というのは魯庵の本体(?)。繰返し記号は略した。

《だが、書物も時々は大掃除した方がいゝつていふ奴もあるぜ。先日[こねえだ]も旋毛[つむじ]の曲つた凸凹が家の大将[ていしやう]の許[とけ]エ来て饒舌[しやべ]つてゐた。神田から本郷一円、浅草下谷へ掛けて本屋が全滅したので、先づ古本の大掃除が出来てノウノウしたと思つたらドンドン復興してウンザリしちやつた。本なんてものは掃溜の塵同様、アトからアトからと溜るんだから、五六遍も思切つて焼いちまはねエと整理が付かねエと、凸凹め、秦の始皇帝気取りで豪勢熱を吹いてやがつた。本屋が聞いたら頭からポッポと湯気を立つて怒りさうだが、アレだけ焼いても直ぐドコからか湧く。忽ち棚が填まるんだから、此の上五遍や六遍焼けたからつて書物の饑饉が来る気遣エは無エ。俺達に取つても先づ当分は食料問題の心配が無エといふもんだ。》

おっしゃる通り。


内田魯庵『紙魚繁昌記』(書物展望社、一九三三年三版)

http://sumus.exblog.jp/9373107/

内田魯庵『読書放浪』(書物展望社、一九三三年四月三日)

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by sumus2013 | 2016-09-07 17:38 | 古書日録 | Comments(0)
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