林哲夫の文画な日々2
by sumus2013
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母音

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雑誌『ひととき』に内堀弘さんが「古書もの語り」というエッセイを連載しておられるということは以前にも触れたが、


二〇一六年六月号(ウェッジ、二〇一六年五月二〇日)では『蘭梦抄』と題して神田神保町の露地裏にあった「らんぼお」という喫茶店(じつは飲み屋)について書いておられる。昭森社の森谷均が昭和二十二年三月に開店した(詳しくは拙著『喫茶店の時代』参照)。

《森谷はこの階下で「らんぼお」という喫茶店をはじめた。そこが若い詩人や芸術家たちのサロンとなる。開店記念に配った小冊子『蘭梦抄』には、太宰治や稲垣足穂、川端康成など三十数名の作家や画家が書いていて、遠い賑わいが伝わってくるようだ。去年の夏、この「らんぼお」が出した『母音』という小冊子を古書店で見つけた。掌にのるほど小さなもので、ランボオの詩を一篇だけ綴じている。そこに、翻訳をした鈴木信太郎が森谷へ宛てた自筆署名があって、こんなものが残っているのに驚いた。

いや、これは驚く。『本の手帳別冊・森谷均追悼文集・昭森社刊行書目総覧』(昭森社、一九七〇年五月一日)の刊行書目総覧にも載っていない(と思う)。らんぼおの発行だから載っていなくても当り前だが、『蘭梦抄』については書影入で言及されているので、『母音』が出ていない理由は分らないが、鈴木信太郎がもし追悼文を寄稿していれば、きっとこの冊子について触れたのではないかと思う(残念ながら鈴木は寄稿していない)。

上の写真で絵のある表紙が『蘭梦抄』。その上になっているのが『母音 Les Voyelles』、右は『母音』の献呈・署名・印。じつは小生も『蘭梦抄』をかつては所有していた。ある目録に手頃な値段で出ていた(手頃といってもそれなりではありました)。運良く入手できて喜んでいたが、扉野良人氏へ結婚祝にプレゼントした。扉野氏くらいの古本者に古本のプレゼントというのは危険(?)が多い。しかしながら、これはさすがの氏も持っていなかったようで幸いだった。備忘のためにここに記しておく。

『母音 Les Voyelles』はランボーのなかでももっとも有名な作品のひとつ。下のような詩である。A(ア)黒、E(ウ)白、I(イ)赤、U(イュ)緑、O(オ)青。母音に色を振り分けて、そこからイメージを呼び起こす詩行をつづけている。下の図は一九五二年のメルキュール・ド・フランス版ランボー詩集より。


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これでソネ(十四行詩)なのだが、じつは次頁にもう四行続いている。マルセル・リュフ解説の『ランボー詩集』(A.-G. NIZET、一九七八年)によれば、ソネの部分は自筆原稿があり、追加の四行詩はヴェルレーヌが筆写して『母音』の次に並べて雑誌に発表した「断片 Fragment」あるいは「四行詩 Quatrain」。この小品に対しては『母音』と同じ構想による失われた作品の断片、あるいはその下書き、または独立した行詩、などといろいろな考え方がされているようだ。鈴木創士訳を引用しておく。


 星はおまえの耳のまんなかで薔薇色の涙を流した、
 無限はおまえのうなじから腰にかけて白く転がった
 海はおまえの朱色の乳房で赤茶色の雫となった
 そして「人間」はおまえの至高の脇腹で黒い血を流した。


天変地異を連想させる強烈なイマージュである。

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by sumus2013 | 2016-07-05 22:25 | 古書日録 | Comments(0)
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