林哲夫の文画な日々2
by sumus2013
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この世界を見よ

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T.J.コブデン=サンダスン『この世界を見よ』(生田耕作訳、アスタルテ書房、一九八七年二月)の校正刷りである。ちょうど五年ほど前にアスタルテ主人より「片付けしてたらこんなの出てきました。いりますか?」と言われて有難く頂戴した。これはボツになった校正紙。生田氏がこの版面が気に入らず、刷り直したんだそうだ。和紙(?)かと思われるざっくりした紙に印刷してあるため、どうしても印字が鮮明にならない(印刷は株式会社写真化学)。コブデン=サンダスンの本だからこれじゃたしかにマズいかもしれない。「工芸の理想」と「美しい書物」の二篇が収められている。

『この世界を見よ』の初版本(ネット上より借用)。

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『Ecce Mundus: Industrial Ideals and the Book Beautiful』
Hammersmith Publishing Society, London, 1902


《全体としての美しい書物

 結論として言えることは、よしんば「美しい書物」が、その書き文字、或は印刷文字、或は挿絵のちからによって美しいものになり得るとしても、それはまた、一つの綜合的全体、すなわち完全な「美しい書物」を作り出すために、これらすべての要素が一致協力することによっても、美しいもの、より一層美しいものになり得るであろう。そこでは最も重要なものとして、書物によって伝えられるべき思想内容がまず最初に来る。次にはそれに仕えるようなかたちで、思想内容を愛すればこそそれ自体も美しくありたいと懸命に努める手書きの或は印刷された頁、飾られた或は飾りのための文字、本文の間にはさまれた絵、そして最後に、全体をがっちり支え、ここでもまた愛あればこそ思想内容と調子を合わせて美しいものとなる製本装幀が来る。
 かくの如きものが最高に「美しい書物」、すなわち「理想の書物」であって、一つのみごとな夢、美しいくさぐさのものが最終的にそこで一つに融け合う限りなく美しいものの象徴である。
 「美しい書物」とは、従って、一つの全体として考えるべきであり、いずれか一つの「技術」がその服務条件によって定められた限界以上に自己を主張することは、「大逆罪」と見做さなければならない。かかる限界の中でそれぞれの「技術」が果たすべき適当な務めは、あきらかに一つの「非自己」である何物かを創り出すために、同様の条件で雇われている、他のすべての「技術」と力を合わせて働くことである。「美しい書物」の全体性、均整、調和、無理のない美しさは、そのとき、われわれ自身と全世界とから成立つ生命全体の、無理のない全体性、均整、調和、そして美しさと原理において一つに重なるであろう、すなわち互に相競うもろもろの力の間にあって、毅然たる自己の面目を保ち、日々の彩飾された頁の上に、生命の言葉を以て、幾世紀にも亘る書冊を書きしるし、無窮の時間と空間とを貫いて、すべての生命と、すべての美しい即ち気高い書物の原型である、その驚異的な物語の十分な展開を目指して韻律正しく前進する、複雑にして素晴らしい全体と、一つになるのである。》(美しい書物)

ゴシック体部分は本書の通り。「非自己」と「全体」というのも、いわゆる中世主義、「独創」と「新しさ」を追い求める近代に対するアンチテーゼである。それにしても「美しい」が頻出する。何をして「美しい」というのか、それが先ず問題である。それはコブデン=サンダスンの作った書物を眺めてみるにしくはないだろう。



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アスタルテ主人と酒杯を傾けたのは亡くなるおよそ半年前だ。店にはしょっちゅう通っていても二人で飲んだのは二度目だった。牡蠣と鰻が好物で大根(とカイワレ大根)が苦手だと聞いた。もう一度くらい一緒に飲みたかったなあ。

アスタルテ書房誄

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by sumus2013 | 2016-06-15 21:15 | 古書日録 | Comments(0)
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