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林哲夫の文画な日々2
by sumus2013


古松蔵書その後

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「古松蔵書」という蔵書票が貼付された阿部六郎『深淵の諸相』を買った話を書いたのは昨年の二月だった。

蔵書票「古松蔵書」

十年ほどもブログをやっていると取り上げた古書や資料に直接つながる方々よりお便りやeメールをいただくことが時折ある。インターネット上で家族や先祖の事蹟を検索する人たちが少なくないようだ。ごく最近も上のような巻き紙のお手紙を「古松蔵書」の古松貞一氏のお嬢様より頂戴した。差し障りのない程度(全体的にさしたる障りはないが)に父上に関することなどを引用させていただく。

《もう少し前になりますが、他界致しました藤本東一郎は又従兄弟でございます。又、父の若かりし頃は藤田嗣治様に父のトレードマークのマドロスパイプを片手に持つ肖像画を画いて頂き書斎に掲げてありました。父は画家が好きで私の物心のついた頃から毎月「みづゑ」という雑誌を購入しておりました。》

《京大の教室四教室ぎっしり位の本を所蔵しており 古松蔵書が貼付してありました 専門外の俳句辞典や民族辞典などもあり学生時代には図書館に行かず調べものが出来ましたことは今思いますと 幸せだったと思います

《左京区北白川の京大人文科学研究所のごく近くに居住しておりましたので のんびりと余生を送っておりました、本当にお心にかけて頂きましたこと父に変わりお礼を申上げます、昔はすべて口伝でこざいましたので今のようにすばらしい現代文明によるもので後世に残ること不思議に思います》

すでにご高齢でいらっしゃるようだが、お元気でご活躍のご様子である。思いもかけず、なつかしき良き時代の香を届けていただいた。

by sumus2013 | 2016-05-27 20:41 | 古書日録 | Comments(0)
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