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写真家・福島菊次郎「WILL:意志、遺言、そして未来 報道写真家・福島菊次郎」展を堀川御池ギャラリーで見た。福島菊次郎についてはみずのわ出版から出ている那須圭子さんの写真集を装幀させてもらった縁がある。(本展の会場でも販売されております) 那須圭子『My Private Fukushima 報道写真家福島菊次郎とゆく』(みずのわ出版、2013年) 《戦後、10年にわたり原爆症に苦しむ家族を記録した作品により報道写真の世界へ入った福島菊次郎は、全共闘運動、三里塚闘争、自衛隊と兵器産業、環境問題など多岐に渡るテーマで激動する時代を写真に収めてきました。権力に迎合しないことを信念に撮り続けた写真は、戦後の日本が歩んできた道、残してきた課題を私たちに伝えています。本展はこれまで700を越える会場に展示された福島自作パネルによる写真展です。》 以上のようにチラシには書かれているが、福島の壮絶な人生はウィキの略歴からでもひしひし伝わってくる。 これで九十四まで闘ったのだから相当に強運と強靭な肉体の持ち主である。個人的には自衛隊と兵器産業をあからさまに描いてみせた一連の写真は新鮮だった。戦闘機の前で他愛なくニカッと笑っている二人の工員、寒気のする凄い写真だ……。いわゆる平和憲法によってこのパンドラの函に蓋がされてきたわけであるが、函のなかではプレッシャーが高まっていた。もうパンク間近ではないのか? あらためて人間は懲りない動物だと思い知る。 福島自作パネルはたしかに福島のテーマをコンパクトに伝えるには効果的だ。そういう展示はそれで続けるべきであろう。が、しかし福島亡き今こそ「写真家(報道写真家ではなく)・福島菊次郎」としての批判的な回顧展が必要だろう。初出紙誌、写真集などの資料展示も含め福島の全体像を知りたいと思った。テーマや生き様を通してだけでなく福島の写真そのものを直視するべきではないか。それだけの力を福島の写真は持っている。
by sumus2013
| 2016-05-17 20:56
| 雲遅空想美術館
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