林哲夫の文画な日々2
by sumus2013
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連翹

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鏑木清方『連翹』(大雅堂、一九四三年七月二五日)。割り合いとよく見かける清方の随筆集である。大雅堂は京都の版元。昭和十八年に出て敗戦後直ぐにはやはり同じく京都の版元芸艸堂から再刊されている。カバーなしの裸本を均一で手に入れて読んでからもう二十年以上になるか。つい最近、カバー付きをまたもや均一で拾ったので読み直してみた。

改めて強調するまでもなく上手い随筆である。画家でなくても食える。本人も文章には本気で立ち向かっていたようだ(そうでないと謙遜してはいるが)。

《大体私はあれもやつて見たい、これもやつてみたい、と気が多すぎるのだ。画家なれば絵一つに凝つて、一筋に進めば文句はないわけだが、さうはいかないのだから困る。
 此頃最も興味のあるものと言へば人間だけれども、以前は人間にはほとんど興味がなかつた。十年許り前、金鈴社時代には一事風景画に転じよう、と考へたこともある位で、頼まれるから仕方なくかくやうなものの、本当は人間をかいても風景画中の一静物として扱ひたかつた。ところがこの五六年、すつかり人間をかくやうにばかり自づとなつてしまつた。》

《画家といふものは、いつたいどんなものか。形と色、画家の道はこの二つ以外にはないのかも知れない。この二つに思ひを潜めて、真一文字に進めば、えらい画家になれるのであらう。さう思ふけれども、形と色、それから線といつたやうな仕事、それだけの仕事には私などはどうしても没頭する気持になれないのだ。》

《畢竟、私の願ひは、何かにつけて自分なりの生活をもちたいといふこと以外にはない。漠然たる言ひかたではあるが、自分自身の生きかた、暮しかたをして、そこから自然を、また人生を見るわけである。》

《私も以前には、絵をうまく描くことを第一に心掛けたこともあつた。此頃はうまさ拙さはどうでもいいと思ふやうになりさうだ、かきたいものをかきたいまゝにかく、それでいゝのだと思つてゐる。》

《もちろん、いゝ絵をかきたいと思はないではないが、それは必ずいゝ絵でなくても差支へない。いゝ生活をしたいといふのが一番の望みである。断るまでもなからうが、いゝ着物を着たり、うまいものを食べたりする贅沢な生活がいゝ生活ではない、いはゞ自分の内生活を豊富にしたいと言ふのだ。》

清方は明治十一年(一八七八)生まれだから、この随筆が発表された昭和九年には五十六歳。小生も六十を越したのでこの気持ちはよく分る。

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by sumus2013 | 2016-05-15 20:23 | 古書日録 | Comments(0)
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