林哲夫の文画な日々2
by sumus2013
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二銭銅貨

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もう一冊、江戸川乱歩を。『二銭銅貨』(平凡社、一九四六年六月一〇日再版)。表紙および裏表紙には「TEI」のサイン。絵柄からして高井貞二であろう。高井は昭和二十一年から二十二年にかけて『白髪鬼』(ふじ書房)、『黄金仮面』(丘書房)、『幽鬼の塔』(ふじ書房)、『暗黒星』(ふじ書房)などの装幀を手がけている。扉もどうだろう、高井かな?

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挿絵は岡田七蔵(1896-1942)。札幌生まれで三岸好太郎の友人だった。二科会、春陽会を経て国展に出品。谷崎潤一郎の「鮫人」の挿絵も担当した。

「二銭銅貨」の初出は『新青年』大正十二年四月増大号。江戸川乱歩のデビュー作とされる。この本が再版となっているのは平凡社から昭和二年に『現代大衆文学全集第三巻江戸川乱歩集』として刊行されたからだろう。「二銭銅貨」の他に「D坂の殺人事件」など全八作収録。例によって虫食いが残念な本だが、もしキレイならそこそこの値段である。

「D坂の殺人事件」から明智小五郎の下宿の図。これは昭和初期の佐野繁次郎と似たタッチの絵である。

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《何気なく、彼の部屋へ一歩足を踏み込んだ時、私はアット魂消てしまつた。部屋の様子が余りにも異様だつたからだ。明智が変り者だということは知らぬではなかつたけれど、これは又変り過ぎてゐた。
 何のことはない、四畳半の座敷が書物で埋まつてゐるのだ、真中の所に少し畳が見える丈で、あとは本の山だ、四方の壁や襖に沿つて、下の方は殆ど部部[ルビ=へや、ママ]一杯に、上の方程幅が狭くなつて、天井の近くまで、四方から書物の土手が迫つてゐるのだ。外の道具などは何もない。一体彼はこの部屋でどうして寝るのだらうと疑はれる程だ。第一、主客二人の坐る所もない、うつかり身動きし様ものなら、忽ち本の土手くづれで、圧しつぶされて了ふかも知れない。》

明智小五郎の風貌についてはここではこう書かれている。年齢は二十五歳を越していない。

《妙な男を引合ひに出すが、あの片腕の不自由な、講釈師の神田伯龍を思出させる様な歩き方なのだ。伯龍といへば、明智は顔つきから声音まで、彼そつくりだ、ーー伯龍を見たことのない読者は、諸君の知つてゐる内で、所謂好男子ではないが、どことなく愛嬌のある、そして最も天才的な顔を想像するがよいーーたゞ明智の方は、髪の毛がもつと長く延びてゐて、モジヤモジヤともつれ合つてゐる。そして、彼は人と話してゐる間によく、指で、そのモジヤモジヤになつてゐる髪の毛を、更にモジヤモジヤにする為の様に引掻廻すのが癖だ。服装などは一向構わぬ方らしく、いつも木綿の着物に、よれよれの兵児帯を締めてゐる。

神田伯龍か、なるほど。まだ二十面相と対決する背広でバリッと決めた明智探偵ではない。モジャモジャ頭は変わらないが……

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by sumus2013 | 2016-04-23 20:31 | 古書日録 | Comments(0)
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