林哲夫の文画な日々2
by sumus2013
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蝸牛考

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まだ少し気が早いが笹に蝸牛の木版画色紙をご覧いただく。竹内栖鳳の原画。栖鳳は此の手の木版画による色紙や葉書を多数版行している。なんとも才気あふれる筆致だ。

この色紙を買って、もう一軒古本屋をのぞいたら下の一冊が目に付いた。またまた友引であった。

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柳田国男『蝸牛考』(創元選書、創元社、一九四三年二月二五日)。刀江書院(一九三〇年)が初版。その後、創元選書に入り、岩波文庫そして『定本柳田國男集』(筑摩書房)と出ている。少し読み始めてみるとやはり興味深いことこの上ない。

《都府と田舎とを問はず、言葉は一様にもう昔のまゝでない。異称の発見にせよ、音韻の分化にせよ、新たなる生活の必要があればこそ、新語は世の中に現れて出たのである。人心のおのづからな之に向ふのは、必ずしも無用の物ずきと評することが出来ない。私たちの想像では個々の物いひにもやはり摩滅消耗があり、又一種の使用期限の如きものがあつた。》

蝸牛の呼び名はざっとデンデンムシ(デデムシ)系とマイマイ系とカタツブリ系そしてナメクジ系(蝸牛とナメクジを区別しない)というふうに大別できるようだ。それぞれに使われる地域や語形変化が限りなく多様であって詳細は本書をひともといていただくに如くはないが、デ系は出る(角を出す)ことからマイマイは渦巻きから来ているそうだ。

鋭い着眼だと思ったのはカタツムリのツブリ・ツブロに関する考察。その説明のおおまかなラインだけ追ってみる。まずは円という漢字が入って来たときにそれをツブロに当てたが、その「円い物」には一定の約束があり、頭のことをオツムリ、瓢箪をツブル、ツボケ、土器をツボと呼ぶことに関係している。

《蓋し轆轤といふものゝ使用をまだ知らなかつた時代の人が、土器をツブラにする術は渦巻より他に無かつた。即ちツブラといふのは単に蝸牛の貝の如く円い物といふだけで無く、同時に又粘土の太い緒をぐる[ぐる]と巻き上げること、恰もかの虫の貝の構造の如くにしなければならなかつたのである。ツボといふ語がもとツブラといふ語と一つであつたことは、現に地中から出て来る一片の壷のかけを、検査して見ただけでもわかることであるが、この上代の製作技術の、今日まで其儘に保存せられて居るのがツグラであつた。》

ツグラは藁を螺旋状に巻いて作る幼児を入れておくベビーベッドのようなもの。さらに蛇がトグロを巻くことをツグラ、ツグラカクなどと言う地方があるようにそれはツクネル・ツクナルからワダカマル・ウヅクマルへと展開していった。

また蛇がトグロを巻くことをサラを巻くということもある。頭の旋毛もサラ(河童の皿に同じ)と言うが、それは壷とともに皿もまた同じ製法だったことに原因する。アグラカクも足を以てツグラを作ることであった。また巻貝をツブラ、ツブ、ツビ(都比)と呼ぶ地方もある。ツボ焼もここからきている……とこのツブの連鎖はとどまるところを知らぬ勢いである。

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創元選書の装幀は青山二郎。表紙にはオランダのタイルに似た柄が用いられている。


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by sumus2013 | 2016-03-28 21:29 | 古書日録 | Comments(0)
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