林哲夫の文画な日々2
by sumus2013
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鮪と鰯

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時折、むしょうに聴きたくなるCD。高田渡「ごあいさつ」(King Record, ベルウッド名盤コレクション、1999)。元盤は一九七一年六月一日発売。その下の高田渡が表紙になっているのは『勝手にタカダワタル的語録』(入谷コピー文庫、二〇〇五年一〇月)である。

とにかく歌詞がどれもなかなかいいのだ。と思って歌詞カードを繙いてみると、自作の他に谷川俊太郎、ラングストン・ヒューズ、エミリー・ディッキンソン、吉野弘、有馬敲、添田唖蝉坊、衣巻省三(「アイスクリーム」!)そして山之口貘らの名前が並んでいる(なお歌詞カードでは吉野宏、衣巻省二となっているので注意)。彼らの詩に高田渡的曲がつくとやはり高田渡的世界が広がる、当たり前ながら。

歌詞としては有馬敲「値上げ」などもお気に入りだが《僕は他にもたくさんの詩人の方の詩を拝借しているが、これほど共感を覚え、影響を受け、また多くの詩に曲をつけさせてもらった詩人は山之口貘以外にはない》(『勝手にタカダワタル的語録』より)という山之口貘の「鮪と鰯」を久々に聴いてなんだか五十年以上前にもこんな風評被害があったのだと妙に納得というか、哀しくなってしまった。末尾の八行を引用しておく。全文は下記サイトにて。

 鮪は原爆を憎み
 水爆にはまた脅やかされて
 腹立ちまぎれに現代を生きているのだ
 ある日ぼくは食膳をのぞいて
 ビキニの灰をかぶっていると言った
 女房は箸を逆さに持ちかえると
 焦げた鰯のその頭をこづいて
 火鉢の灰だとつぶやいたのだ


ここで山之口貘自身が自作について

《数え立てれば色々の答がなんのために詩を書くかの問いに対して、出没するのであるが、それらの答えで注目すべきことは、誰もが生から詩を切り離しては、答えられないものであるということなのである。
 次の詩は自作であるが、ビキニの灰と箸との結びつけなどから、詩人としてのぼくの作業の一端を紹介することが出来るのではなかろうか。》

と書いているように、生から詩を切り離せないからこそ、現代にも通じるのだ。ビキニという言葉がフクシマに変っただけで。

ひとつ注意しておかなければならないこと、高田渡は原詩通りに歌っていない。都合のいいように細部を(でもないか、かなり)作り替えている。上記引用部分はこのような歌詞になっている。


 鮪は原爆を憎み
 水爆にはまた脅やかされて
 腹立ちまぎれに現代を生きているのだ
 ある日ボクは食膳をのぞいて
 ビキニの灰をかぶっていると
 女房に言うと
 女房は箸を逆さに持ちかえると
 焦げた鰯のその頭をこいて
 火鉢の灰だとそうつぶやいたのだ

 鮪の刺身を
 食いたくなったと
 人間みたいなことを
 旦那も言いはじめた


《大事なのは元の言葉を次の時代に新鮮な形で生かしていけばいいんだよ。》(『勝手にタカダワタル的語録』より)、それはそうなんですけれど……。

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by sumus2013 | 2016-03-09 20:31 | 古書日録 | Comments(0)
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