林哲夫の文画な日々2
by sumus2013
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米国詩人

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内村鑑三述『月曜講演改題 宗教と文学』(警醒社書店、一九〇一年一月五日三版)。本年の古本買初め……ではないけれど古本らしい古本としてはこれが最初と言っていい。表紙は汚れているものの本文は読まれたようには思えないくらいの状態だ。むろん経年劣化はあり針金綴じの針金は錆びて弱くなってしまっているが、これは致し方ない。

神田美土代町の基督教青年会館で内村が明治三十一年一月に行った連続講演。それを筆記した内容である。「カーライルを学ぶの利と害」「ダンテとゲーテ」「米国詩人」「文学としての聖書」の四章。ここでは「米国詩人」をかいつまんで紹介しておく。

《余輩は今茲に米国詩人を紹介せんとするに当り、先づ之に達する通路を備ふるの必要を感ずる。由来我邦人は米国とし聞けば、直ちに驚くべき拝金国にして、大哲学者も出でず、大文学者も現はれず、凡そ大の字を冠すべきものは何もあらざるが如く思惟する癖あり。》

《されど余輩も亦曾て米国に遊べる者なれば、米国の為に妄を弁じて、合せて自らを弁護するの観なき能はず。

余輩の少なる頃、一ツ橋外に外国語学校なるものあり、英仏独等の語学を授け、余輩も亦就て学びぬ。而して其の英学部と仏学部と独学部と互に相衝突し、彼は此を笑ひ、此は彼を嘲けり、果ては一場の争闘を惹起せる事屢なりき。今日と雖、法律を研究する人々にして、独逸派は英国派を蔑視し、英国派は又独逸派の欠点を指摘して之を難ずる者少なからず。

しかし英独仏それぞれに長所があり、よってまた米国にも長所がないとは言えないだろう。拝金は長所の一部でしかなく、とくに自由の思想においては世界無比の国である。

《而してその人類的観念の盛なるや、発しては外国伝道となり、日本、支那は言ふまでもなく、印度、亜弗利加等、北の端より南の端まで、文と野を論ぜず、暑を恐れず、寒を厭はず、甚だしきに至ては鮮血を滴らして更に悔ひず、只一片の愛心より熱誠を揮つて未だ教化に湿はざる他国の人民を誘掖し、其の喜悦の情を頒たんとす。》

これに加えて「詩歌」はアングロサキソン人種特得の技量である。英国には未だ偉大な画家は出ていない。哲学においてもヒユウム一人、しかしながらおびただしい大詩人を輩出しているのが英国である。その《英人中の英人と称せらるべき一群が、居を米国へ移したる事なれば、勿論米国に於て詩歌なしと言ふの道理ある可らず》……とやや強引な論理展開になる。

むろん建国二百年に満たない国だから詩人の群星(ガラキシー)を見るわけではないが、一種の特質は有している。米国は大国だからその詩が英国のちまちました自然をうたった詩よりもずっと雄大である。例えばブライアント。テニソンと比較してみれば違いがよく分る。政治思想も英米ではまったく異なる。

《英国は詩を以て詩人の為に用ひたれども、米国は一歩を進め詩を以て人民の為に用ひ、政治の為に用ひたりき。》

この点で奴隷使用に反対したホイツチエルは米国詩人の師表である。ホイツトマンは在来の詩風を破壊して新機軸を出した詩人。韻も押さず字数も揃えない自由詩を書いた。清廉の詩人として愛されている。

というところで「南米詩人」へと話題は移っている。国別に優劣を論じること自体に疑問を感じる(英国人を米国人の祖として語ること自体がナンセンスであろう)が、それはそれとして《人類的観念の盛なるや》云々というところは大いに納得した。日本も甚大なる影響を米国から被った。内村がこういう話をしてから百二十年近くが過ぎている。内村は米国が日本をこんなふうにしてしまうと想像したであろうか。この点についてちょっと訊ねてみたい気がしないでもない。



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by sumus2013 | 2016-01-09 21:37 | 古書日録 | Comments(0)
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