林哲夫の文画な日々2
by sumus2013
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イギリス風殺人事件の愉しみ方

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ルーシー・ワースリー『イギリス風殺人事件の愉しみ方』(中島俊郎+玉井史絵訳、NTT出版、二〇一五年一二月二五日)。ワースリー女史の著作は以前にも紹介したことがある。

『暮らしのイギリス史 王侯から庶民まで』

身近な物や事の歴史を新鮮な見せ方で提示してくれる内容は(図版多数あり)、さすがテレビ畑の仕事人だと感心する。日本版の表紙はシックな仕上がり(ブックデザイン=松田行正+日向麻梨子)ながら原著はヴェリー・ブリテッシュに刺戟的だ。

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十九世紀初頭から前世紀まで、時代ごとの代表的な殺人事件を例に取りながら「殺人」の誕生とそれに対するイギリス人の考え方の変遷を紹介しつつ実際の事件と文学(ジャーナリズムや犯罪小説・推理小説など)との関係を説き明かしていく。その過程で警察機構の整備の問題や法医学の進歩についての叙述も加わってアール・アバウト「殺人」といったおもむきを持っているのだが、読了してみると結局のところ「文学における殺人」あるいは「殺人文学」の発展というバックボーンがしっかりと通っているのがはっきり感じられ、そういう意味では大変まとまりが良く「使える」一冊になっていると思う。ざっと登場順に関連作家の名前だけ連ねるとこういうふうになる。

ド・クインシー
ディケンズ
ウィルキー・コリンズ
メアリ・ブラッドン
スティーヴンソン
コナン・ドイル
マコール・スミス
アガサ・クリスティ
ドロシー・セイヤーズ
チャンドラーとヒッチコック
ジョージ・オーウェル

示唆に富む記述が多すぎて引用するのに困ってしまうくらいだが、なかでも次の指摘はベタながら目から鱗が落ちた。「第十六章 切り裂きジャック」より。

《どうやらスティーヴンソンの『ジキル博士とハイド』は「切り裂きジャック」の正体を推測しようとする人々の見解に決定的影響を与えたようだ。殺人犯がイーストエンドの碌でもない地元住民だと推測する者は誰もいなかった。そうではなく昼間は豊かな社会の一員で、夜間になるとホワイトチャペルの薄汚い通りを徘徊する外部者だという説がたえず支持されたのである。》

《「切り裂きジャック」と同時代のロンドンの街路にはさらなる架空の人物が出現した。あの華々しい私立探偵シャーロック・ホームズである。ホームズは一八八七年、クリスマス号の雑誌に初めて登場し、「切り裂きジャック」が国中を震撼させた一八八八年、『緋色の研究』と題する小説となって出版された。》

《「ジャック」が制御できず不可思議で動機不明の夜の人間である一方、ホームズは合理的思考にとみ華々しく、暗闇を照らす光のような安堵をもたらす存在であった。現実のホワイトチャペル事件においても、アーサー・コナン・ドイルが創作した小説の事件においても、警察は失敗の連続であったのに、ホームズは常に成功を収めた。そして「ジャック」像とホームズ像が奇妙に交錯するなか、連続殺人犯を見たとおぼしき数少ない目撃者である一人は、犯人はホームズの代名詞である鳥打ち帽をかぶっていたと証言したのであった。》

『ジキル博士とハイド』(一八八六年に執筆され、八八年には劇場で上演されていた)、「切り裂きジャック」事件、シャーロック・ホームズ……これらの三つ巴が時代を彩っていた。いや時代がこれらのヒーローを生み出したのか。いずれにしても面白過ぎる。

図版のなかではこちら、この素敵な女性、どなたでしょう?

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アガサ・クリスティーです!

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by sumus2013 | 2015-12-26 21:08 | おすすめ本棚 | Comments(0)
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