林哲夫の文画な日々2
by sumus2013
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洗濯船

f0307792_03134593.jpg

シャンペレ古本市にもう一度挑戦する。初日は空気が張りつめて活気があった。四日目ともなれば少し落ちついているだろう。案の定、客は極端に少なかった。二度目だから一軒一軒のぞくことはせず、目星を付けたところだけ。古写真を安く売っていたブース、ブルーシートがかかったまま。いつまで待っても開店しない。これは誤算だった。仕方がない、もうひとつ注目していた店で、予想通り売れ残っていたブツを有り難く買わせてもらう。

これで目的は達した。後はぶらぶら。ギャラリーの案内状(カルトン・ダンビタシオンと呼んでいた)ばかりをたくさん箱に入れて売っている店があったので一枚一枚たしかめていると、まだ若い主人が他にもこれとこれとこれが案内状だと言いながら分厚いファイルを三冊出してきた。せっかくだから全て目を通す。何か拾いものがあれば……と思ったのだが、状態もデザインも上質なものが揃っていたわりには、これぞというカードはなかった。

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ただ一点、上掲の小さな四角い冊子に惹き付けられた。本文十二頁。厚みは二ミリもあるかないか。一九五二年五月にパリ十八区ノルヴァン通十五のギャルリー・シュザンヌ・ミシェル(GALERIE SUZANNE MICHEL)で開催された「ル・バトー・ラヴォワール(洗濯船)」展の際に作られたもの。副題が「キュビスムの誕生 1900-1915」。モンマルトルの芸術家たちが下宿していたことで知られる洗濯船、ピカソ、グリス、マックス・ジャコブ、ブラック、ドローネーらの絵画、版画、デッサンが出品されたらしい。出品目録は印刷されていない。だからカタログではなく案内状と分類されていたのだろう。表紙だけでなく凝った本文レイアウトも気に入った。5ユーロ。ノルヴァン通というのは洗濯船からも遠くないし、サクレクールの塔が建物の後ろに見える、ユトリロがしばしば描いた街である。また洗濯……と言えば先日30年代美術館で見た洗濯展、本当の「洗濯船」がどういうものか、展示されていた版画に描かれていた。

Bateau-lavoir

この主人が「見てもらいたい本がある」と言って持ってきたのが泰山の石碑の拓本集。新しい版本だ。「これは日本の本か?」というので「中国の本」だと答える。五つ目綴じになっていた。綴じ目を指して「俺たちはこういうのを日本綴じ(ルリュール・ジャポネーズ reliure japonaise)と呼んでいる」と教えてくれた。

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ワンコが店番している……ちょっと色っぽい店があった。

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by sumus2013 | 2015-10-27 04:07 | 古書日録 | Comments(0)
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