林哲夫の文画な日々2
by sumus2013
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高祖保集

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外村彰編『高祖保集 詩歌句篇』(龜鳴屋、二〇一五年八月一日)。高祖保の生前に刊行された四つの詩集『希臘十字』(椎の木社、一九三三年)、『禽のゐる五分間寫生』(月曜発行所、一九四一年)、『雪』(文芸汎論社、一九四二年)、『夜のひきあけ』(太陽出版社創立事務所 青木書店、一九四四年)および目玉として歿後刊行の『高祖保詩集』(岩谷書店、一九四七年)に収められた詩集『獨楽』の定稿復元版、未刊詩篇、歌篇、句篇を収録する。

《書簡集、評伝『念ふ鳥』、随筆集、そうして韻文選集。高祖保関連の龜鳴屋本も四冊目である。全集実現の希望が残されているものの、高祖本の刊行は今回で一応の区切りとなろう。
 本書はコンパクトな版型ながら、重厚な全詩集の体裁になっている。詩篇で特筆されるのは遺作詩集「独楽」定稿を初めて活字に復刻したことだが、他の収録作も出来得る限り、原典表記を尊重するべく努めた。》(編者あとがき)



龜鳴屋さんの清潔な造本はいつもながら見事。印刷は山田写真製版所……これは『書影の森 筑摩書房の装幀1940-2014』(みずのわ出版、二〇一五年)と同じ。

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高祖保の作品一篇引用しておく。『獨楽』より。

  
  阿呍の行者
     井上多喜三郎様にさしあげる

かつてわれ わが書架のうへ
到來物なる 張子の虎 ふたつ置きたり

ひとつは 口展きて 朱[あか]き口中をみせ
ひとつは 口噤みて 皓き歯並をいだす

口展ける虎 大虎にして 頸根[うなね]やや短
口噤める虎 小虎にして 頸根やや長

ひとつは 脚のつけ根折れて うちらへ曲り
ひとつは 片耳ちぎれ去つて 歪[いびつ]の相を示す

脚折れて曲れる 曲れるままによく
耳剝[そ]げて耳なき 耳無山に似は似たれ

ふたつ並びて 世上 樓門なる仁王像に異らず
そが 口邊の開閉は おのづから阿呍の二極を現ず

われ書架より 書物とりいだすとて
書架のうへなる 虎ふたつ ゆらゆらと首をふり

われ書架に 書物を還すとて
書架のうへなる 阿呍の行者 またゆらゆらと首をぞ振る

うごくこと おのづからにして うごき
しづまること おのづからにして しづまる

わが詩の 動中に發する かくのごとく
わが哥の 静中にしてとどまる 凡そかくのごとし

春日 二像のかげ 書架の書にいたり
秋日 二像のうごき わが机上の小箋におよぶ

午下三時 一碗の澁茶に こころ足り
われ わが口を開き かつ閉ぢ 二者のすがたを摸す

わが書架にして 二虎のうごき 小[ささ]やかにはあれ
わが筆硯にして 阿呍の示相  極めて大なるを

二虎にして こころあらば われを目瞻[まも]りゆけ
ああ こころして われ汝らが放瞻を 愛すといふべし


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これまで紹介してきた龜鳴屋本。

『高祖保書簡集』

高祖保『庭柯のうぐひす 高祖保随筆集』

外村彰『念ふ鳥 詩人高祖保』

『伊藤茂次詩集 ないしょ』

安久昭男『悲しいことなどないけれどさもしいことならどっこいあるさ』

松井邦雄『ル・アーヴルの波止場で 二十世紀歌謡・映画・ノスタルヒア・港町』

高橋輝次『ぼくの創元社覚え書』

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by sumus2013 | 2015-09-26 20:03 | おすすめ本棚 | Comments(0)
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