林哲夫の文画な日々2
by sumus2013
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絵師草紙

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小松茂美編・解説『長谷雄草紙 絵師草紙』(コンパクト版日本の絵巻11、中央公論、一九九四年七月二〇日)。この「日本の絵巻」は大好きなシリーズ、といっても架蔵するのはコンパクト版のこの一冊だけだが。昔、図書館で大判の同シリーズをじっくり閲覧したことがあり、いずれ劣らぬ巧みな描写を通して絵巻の持つ広く深い世界観に驚かされた記憶がある。

長谷雄草紙(はせおそうし)は鬼と博打を打って大勝ちし絶世の美女を手に入れる……というお話。なかなかシュールだが、ここでは絵師草紙(えしのそうし)を紹介しよう。貧乏な宮廷絵師が伊与国に知行をもらって大喜びしたものの、すでに他の者(大寺院)に税を取り立てられた後で、期待はずれもいいところ、そこでお上に申し立てをするのだが……といった筋書き。

本書の解説によれば、本絵巻は紀州新宮の城主水野忠央の丹鶴書院に蔵されていたようで、古筆了伴の手に移り、将軍家慶に献上された後、明治になってから天璋院の遺品に発見され明治天皇に贈呈された。現在は宮内庁に移管されている。作者は書画ともに藤原信実と伝えられるが不明。

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絵師が知行を給うという宣旨を読み上げて家中の者たちに聞かせている場面。喜びが家中に満ちる。左の棚には刷毛や塗り物の鉢や水注などの道具が見えている。

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絵師が伊与から戻った使者から報告書を受け取る場面。不吉な予感。家はかなりボロボロである。鼠がチューっと走っている。子供に手本の馬を模写させている(子だくさんの様子である)。硯が白っぽいから焼き物(白陶硯)か。白玉製品もあるが、貧乏なのだから陶器だろう。

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書も見事。解説にはこうある。

《現存する一群の遺墨の中に、気脈を通ずるものとして、後醍醐天皇〈一二八八〜一三三九〉の宸翰をとらえることができる。これまた同筆ではないが、同時代における共通的な書風として見逃しにはできない。つまり、この「絵師草紙」は、絵画史とのからみにおいて、十四世紀前半の制作と推定するのである。》

この物語は実際に起こった絵師と寺院との訴訟事件をもとにしているらしい。絵柄はさほど堅苦しくなく滑稽味を前面に押し出しているが、相当な手練であることは想像できる。



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by sumus2013 | 2015-09-23 21:48 | 古書日録 | Comments(0)
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