林哲夫の文画な日々2
by sumus2013
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通俗古今奇観

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淡斎主人訳、青木正児校註『通俗古今奇観』(岩波文庫、一九三五年一二月一五日四刷)。

『今古奇観』は中国短編小説のアンソロジーのこと。明末の人、馮夢龍と凌濛初が編集した小説集六書のなかから特に面白いと思われるものを四十篇選んで刊行された。『今古奇観』の編者は抱甕老人と署名しているが本名は未詳。明朝の人(馮夢龍、凌濛初と同時代人)だろうと推定される。

この種のアンソロジー(主に『今古奇観』および『三言二拍』)を日本に初めて紹介したのは播磨の儒者岡白駒とされる(十八世紀中頃)。つづいて大阪の都賀庭鐘が翻案小説を発表し、江戸の石川雅望がいくつかを翻訳、文化文政頃にかけての支那小説の大流行を巻き起こした。そのブームに乗って文化十一年に淡斎主人訳『通俗古今奇観』五巻が出たという流れになる。淡斎主人についても未詳。

『通俗古今奇観』には「荘子休鼓盆成大道」「趙県君喬送黄柑子」「売油郎独占花魁」の三篇が収められ広く読まれたようだ。これらをネタにした小説や戯曲も登場した。

と以上のようなことは青木先生の「解題」をかいつまんで紹介しただけである。今読んでもたしかになかなか面白い。巻頭の「荘子休鼓盆成大道」でなるほどと思ったのは、今日でもときおり耳にする男女を結ぶ赤い糸のこと。話の枕として冒頭にこんな記述がある。

《若し夫婦の間を論ずるときは、紅線は腰にまとひ、赤き縄は足にかけなどいへども》

註記は

《紅線は腰にまとひは唐の郭元振の故事。宰相張嘉が元振を婿にせんと欲し、五人の娘に各一糸を持たしめて幔の外より元振に引かしむ。一紅線を引きて第三女を得たり。》

および

《赤き縄は足にかけは月下老人の故事。唐の韋固が旅にて一老人の月下に書を読むに逢ふ。嚢中に赤縄を蔵するを見て之を問ふ、老人曰ふ、之を以て夫婦の足を繋げば如何なる者にても縁を結ぶを得と。》

としている。唐の故事から来ているとは知らなかった。参考までに「荘子休鼓盆成大道」の粗筋だけ述べておけば以下のようなものである。

荘子には田氏という美しい妻があった。あるとき荘子が墓地の中を通っていると塚を扇いでいる若い女に遭遇した。何をしているのだと問えば女の答えるに夫の遺言に自分が死んで再婚したければ俺の塚の土が乾いてからにしてくれとあったので塚を扇いで乾かしているのですという答え。荘子はご親切にも女に代わって塚を扇いでやり、お礼にその団扇をもらって帰る。妻の田氏はその話を聞いて激怒、団扇を粉々に破り裂く。「わたしはあなたが亡くなっても絶対再婚はしません!」。荘子はそんなことは決してないといさめたがあえて強く反論はしなかった。ところがその荘子が急死した。田氏は嘆き悲しんだのも束の間、弔問に来た若い美男子に一目惚れしてしまう。あれこれ手管を使ってベッドインまでもっていくのだが、いざというときその美男子は発作を起こして倒れてしまう。彼の付人いわく死んで四十日以内の人の脳髄を薬として与えればよくなります、それを聞いて田氏は墓を暴いてまだ没後三十日しか経っていない荘子の脳みそを取り出そうとする……

なんとも欲望丸出しの荒唐無稽にしてリアリズムなのであるが、この後どんでん返しが待っている。それは読んでのお楽しみ。

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by sumus2013 | 2015-09-11 21:19 | 古書日録 | Comments(0)
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