林哲夫の文画な日々2
by sumus2013
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関口良雄の雑話

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山王書房・関口良雄の佚文コピーをいくつも頂戴した。そんなに長いものはないが、短くても味のある文章ばかりだ。それらのなかから『互味』四十二号に掲載された「雑話」の一部を紹介しておく。『互味』がどういう媒体なのかは分らない。オリジナルはガリ刷である。

《私の店の近く池上本門寺のそばに松尾邦之助という人が住んでいる。同氏は在欧二十余年の経歴を持ち、戦後は暫らく読売新聞の副主筆をつとめていた。友達にやるのだから自分の本を探して呉れ、と頼まれ、私は入る都度知らせてあげている。
 一昨年の暮だったか、例によって自分の本を取りに来られた。見れば両手に荷物を下げ、明日はフランスに発つのだと大分忙しそうだ。》

《私は荷物が大へんなようなので、遠慮されるのを無理にといって略図を書いて貰い、本を届けて上げることにした。
 松尾さんは、「忙しいところを悪いなあ」と言いながら、「本屋さん間違って隣りの家に行かないようにな、隣の家もやはり松尾という家で、初めて来る人は大てい隣のデカイ家の方に行ってしまうが、俺の方は小さい方だから。」そういって、帰りかけた足を小戻りして「今どき君、悪いことをしなければ、デカイ家は建たないよ」と、何処かで一パイひっかけて来たらしく、チジレ毛頭のアバタ面を赤くしてニタリと笑った。私もその言い方と一寸オドケた顔が面白かったので、思わずつり込まれ、店先で大声を出して「全くそうですね!」と大笑いしたのを覚えている。
 その夜届けに行った松尾さんの家は、なるほど小さく探すのに骨が折れた。大きい方の家はすごく豪華で、その頃造船疑獄で引っぱられ巣鴨に入っていた某造船会社の重役の家だということが、後になって判った。》

松尾邦之助の顔写真は以前引用したことがある。

その後、パリから戻った松尾と池上駅で出会う。

《「先生! 暫くでした。」と声をかけると、「やあー」といって近づいて来られ、「何かその後、僕の本が入ったかね、四五年前に長嶋書店というところから、僕の「赤いスウインクス」という本を出したのだが、何とか見付けてくれないかね、あれば百冊でも二百冊でも買うがどうも俺の本を出す出版屋は、鱒書房といい、美和書院といい、又長嶋書店と、みんな夜逃げしやがるんで弱ったよ。俺らあ原稿を書くのがつくづく嫌になった。」と、一寸しみじみした述懐を洩らしたかと思うや、すぐさま豪快な笑いを残して駅の雑踏に姿を消して行った。》

……とまだ文章は続くらしいが、このあと四行で途切れてしまっている。とにかくこれらの佚文をもう少し補って『続・昔日の客』を作る奇特な人はいないものか。

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by sumus2013 | 2015-06-25 21:06 | 古書日録 | Comments(0)
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