林哲夫の文画な日々2
by sumus2013
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政田岑生葉書

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政田岑生から竹村晃太郎に宛てた葉書。消印は「20.4.71・12-18」大阪中央。一九七一年四月二十日。このインクのブルー、いかにも政田好みの感じだ。竹村晃太郎は詩人。検索すると書簡や葉書が古書店に出回っているようなので最近蔵書などが処分されたのだろう。この葉書も月の輪書林の先日の目録より求めた。

古書きとら
中井英夫『竹村晃太郎詩集出版記念会』案内はがき

政田が住所を問い合わせている長谷川敬も詩人(同姓同名の小説家がいる)。

長谷川敬という詩人がいた

政田岑生ではもうひとつ、『季刊銀花』第二十六号(一九七六年六月三〇日)の「書物雑記」欄に限定本『香柏割礼』(歌・塚本邦雄、木版画・柄澤齊)の紹介記事が載っているとわざわざその雑誌を送ってくださった方がある。深謝。

《限定六十部。柄澤齊オリジナル木口木版画十五点貼込み、菊判、全冊限定番号入り、塚本邦雄一首墨書、表紙犢特染革装、布貼り夫婦函、六万五千円。分割払い可。(名古屋市名東区神里二の七三 書肆季節社

塚本邦雄歌集 特装限定版

凄い本を造っていたのだ。ついでに『季刊銀花』第二十六号(古時計特集)をめくっていると「道楽散歩・神戸の古本屋さん」という記事が目に留まった。

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後藤書店、あかつき書房、皓祥館書店、三宮書房、鯉川書房、書房アメカゼ、こばると書房、門書店、倉書房、黒木書店、俳文堂、文紀書房、笹野書店、古書肆多聞、上崎書店、ごらん書店、藤本書屋、間島一雄書店(月見山なので地図には出ていない)などのほか即売会などが紹介されている。これらの古書店の内で今も営業している店は数えるほどだ。貴重な資料であろう。

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なつかしき黒木書店。小生が知っているのは一九八〇年代後半から九五年頃までだから、この写真に写っているご主人は小生の記憶よりよほど若い。向かって左側にも同じような通路があり、手前中央がショーウィンドーになっていた。ごく狭い店だったが、いつも勉強させてもらった。「値段だけ見ることお断り」の貼紙が書棚の細いタテ枠に何箇所か張ってあった。この写真では見えないようだが……まだなかったのかもしれない。にもかかわらず、ほとんど値段だけしか見ていなかった。それでも必ず一冊安い本を買うようにしていたせいかどうか、小生は一喝された覚えはない。

記事を少し引用しておく。

《近代文学書の権威として業界学界を通じて有名な「黒木書店」(10[地図番号]毎週水曜定休)は、元町五丁目浜側。ウインドーには、極美の『花祭』(七万円)および富澤赤黄男『天の狼』(十万円)、小林秀雄署名入り『文芸評論』三冊揃い(六万五千円)、そのうちの『続文芸評論』は横光利一あて献呈本、などという逸品がひしめいている。

《正面の頭上には谷崎潤一郎と辻潤の色紙、その横に『やなぎ樽研究』百五冊揃い(十二万円)が積み上げられている。大正二年生まれの黒木正男氏は昭和二十一年に広島で開業、初め屋号を「澄江堂」と定めたほどの徹底した芥川愛読者である。二十八年五月に、かつて朝倉書店、ロゴス書店、白雲堂書店(現在は姫路市伊伝居南町)を主力とする目録販売の盛況をもって全国古書界に鳴り響いた由緒ある神戸の地を選んで進出、近代文学の蒐書における西国奉行として重きをなした。》

《信念の愛書家で、価値を認めた著作家の書物しか店に置かず、たとえ世に時めく有名作家でも、あれは"にせもの"と断じたら決して在庫に加えない。ひやかし客を一喝する気魄においても当世まれなる存在。》

《昭和二十五年創刊、四十八年二月に三十四号を出したままになっている目録の続刊を望む声も多い。昭和二十年生れの長男義治氏が父君を助けて活躍している。》

目録で思い出した。黒木書店古書目録を二冊架蔵するが、それはどちらもアスタルテ書房で求めたものだった。世代も店作りも違うけれど、お二人はどこか似た雰囲気の古書店主だった。一見とっつきにくい。しかし気分が向くと滔々と語って倦まなかった。

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by sumus2013 | 2015-06-24 21:36 | 古書日録 | Comments(2)
Commented by miti-tati at 2015-06-25 03:36 x
全く何の前知識も無く、ふらっと通りかかって入ったのが、黒木書店。名物おやじだったんですね。少し本の話をしたとたん椅子が出て座らされました。
話好きなんですね。止まらない。目録も何冊かくれました。昔、小柄な夫婦連れが入ってきて、ご主人の横にあった「悪徳の栄え」を指してちょっと見せてくれ
と言われ「これは発禁になっていて高いんですよ。」と断ったら、「それは私の本だよ。」と返事された。当の渋澤さんだったんですね。笑って話して
くれました。
Commented by sumus2013 at 2015-06-25 08:35
椅子をすすめられるのは選ばれた客ですよ。さすがmiti-tatiさま! 澁澤も訪れていたとは……
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